F1メキシコGP予選Q3でセルジオ・ペレスとマックス・フェルスタッペンの走行を妨害したとして日本人F1ドライバーの角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)を批判していたレッドブル首脳だが、その後「角田に非はなかった」と認める発言を行っている。
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メキシコGP予選Q3の1回目のアタックを終えた時点でメルセデス勢にリードを許していたレッドブル・ホンダのフェルスタッペンとペレスは逆転を狙って最後のアタックに臨んでいた。
このとき、ペレスの前方を走行していた角田はチームからレッドブル勢のためにコースを明けるよう指示され、自らランオフエリアにマシンを進めた。ところが、なぜかペレスも角田と同じようにコースオフ。その後ろから走っていたフェルスタッペンはクラッシュが発生したのかと勘違いし、一瞬アクセルを緩めてしまった。
これにより、メルセデスの2台のタイムを上回ることができなかったレッドブル・ホンダ勢はフェルスタッペンが3番手、ペレスが4番手でメキシコでの予選を終えていた。
コースオフした角田とペレスを見ながら走行していたフェルスタッペンはチーム無線を通じて「間抜けなバカ野郎」と叫んでいたが、レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーとモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは角田がフェルスタッペンとペレスの走行を妨害したとして公然と批判を口にしていた。
しかし、角田はソーシャルメディアを通じて、自分が2台のレッドブルの邪魔にならないようにするためには「あれ以上のことはできなかった」と主張するに留め、メディアに対しても次のように語っていた。
「これからレッドブルと話をしなければならないので心配している。だけど、僕は何も間違ったことはしていないよ」
実際、角田はマルコに呼び出されて1対1での話し合いを行ったと伝えられているが、その後マルコのコメントに変化が生じている。
「あの件は角田の責任ではなかった」
そう語った78歳のマルコは次のように付け加えた。
「チーム(アルファタウリ)はコース上で何が起こっているかを知っていたわけだから、もっと早くラインを離れるように指示すべきだったんだ」
角田と話をした際に、彼に何と言ったのかと尋ねられたマルコは次のように答えている。
「私は彼に、エンジニアの責任だったと言ったよ」
角田が所属するアルファタウリのチーム代表を務めるフランツ・トストも、あのとき角田は何も間違ったことをしていなかったと次のように擁護している。
「我々は無線を通じて彼にレッドブルが来ているから彼らが安全に走ることができるようコースから外れるよう伝えていた」
「だが、ペレスは角田の後ろでコースを外れていた。それはユウキのミスではなかったよ」
「正直に言って、私はどうしてペレスがユウキの後ろでコースを外れたのかまったく理解できないよ」
ペレスはそのときのことを次のように語っている。
「ユウキが僕の前で突然コースを外れたんだ」
「だけど、それは彼が変な動きをしたのではなく、僕が彼に近づきすぎていたためにダウンフォースを失い、気流の乱れによってコントロールを失ってしまっていたんだ」
レッドブル首脳たちは、角田の妨害によってフェルスタッペンやペレスがポールポジションをとるチャンスを逃したと主張していが、そのときのフェルスタッペンやペレスのタイムはセクター2までメルセデスのタイムを上回ることができておらず、もし角田の一件がなかったとしても今年のエルマノス・ロドリゲス・サーキットでポールポジションをとることはできなかっただろうと考えている者が多いのも事実だ。