マクラーレンのチーム代表を務めるアンドレアス・ザイドルが、自分たちは現時点で最も競争力のあるドライバーがレースに出走できなくなるかもしれないという「根本的リスク」を抱えていると認めた。
先週末にレッドブルリンクで行われた2021年のF1第9戦オーストリアGP決勝ではマクラーレンのランド・ノリスに対し、セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)をコース外に押し出したとして5秒ペナルティが科されるとともに、ペナルティポイントも2点与えられてしまった。
これで、過去1年以内の累積ペナルティポイントが10点となったノリスだが、ルールでは累積ペナルティポイントが12点に達すると、その次のレースが出走禁止となってしまう。
実際のところ、ノリスに与えられた最も古いペナルティポイントは2020年の7月12日に決勝が行われたシュタイアーマルクGPでの2点であり、来週末にシルバーストンで開催される今季の第10戦イギリスGP(18日決勝)ではこの2点が消え、ノリスの累積ポイントは8点に減ることになるはずだ。
それでも、今年は現時点では12月に行われる最終戦まであと13レースもしくは14レースが開催される計画となっており、ノリスがまたペナルティポイントを何度か与えられてしまえば今シーズン中に1レースの出走禁止処分を受ける可能性も十分にある。
しかし、今季ルノーから移籍してきたダニエル・リカルドが不振にあえいでいる中、現在ドライバーズランキング4番手に位置する活躍を見せているノリスが1レース欠場となれば、マクラーレンにとって非常に大きな痛手となるのは明らかだ。
ザイドルは母国ドイツのテレビ局『RTL』に次のように語った。
「安心はできないよ。根本的なリスクがある」
マクラーレンは現在フェラーリとコンストラクターズランキング3位争いを行っており、それに勝つことが今年の大きな目標のひとつとなっている。
ザイドルも、そのためにはノリスもペナルティには注意しながらも「最大のパフォーマンス」を発揮し続けていく必要があると認めている。
シーズンの途中で現在のルールを変えることはよほどのことがない限り難しいだろうが、ザイドルは統括団体のFIA(国際自動車連盟)がドライバーに対してペナルティポイントを与える際の基準を見直すことは可能だろうし、FIAはそれを検討するべきだと語り、次のように続けた。
「シュピールベルク(レッドブルリンク所在地)で目にしたような件で、ドライバーが1レース欠場しなければならなくなるのは、F1の精神としてありえないよ」
ペナルティポイントのルールは「正当かつ重要」なものだが、それは「ドライバーが危険な行為を行った」場合に適用されるべきだと主張したザイドルは、来週末に第10戦イギリスGPが開催されるシルバーストンにおいてこの件に関する検討が行われることになるだろうと語り、次のように付け加えた。
「今後に向けて別の解決策を見いだせることを期待しているよ」
しかし、万が一ノリスが1レース出場禁止となった場合、マクラーレンとしてはそのレースに誰か別のドライバーを代役として起用する必要が生じることになる。
それは誰になりそうかと尋ねられたザイドルは、「リザーブドライバーに関してはメルセデスとの合意があるんだ」と明かし、「第一希望」としてはかつてマクラーレンに所属していたストフェル・バンドーンだと語っている。
2018年までマクラーレンに所属していたバンドーンは、現在はメルセデスF1チームのリザーブドライバーを務める傍ら、メルセデスのワークスチームからフォーミュラEに出走している。