アルファロメオのチーム代表を務めるフレデリック・バスールが、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)がリアウイングの柔軟性に関する新たな基準を導入するタイミングに疑問を呈した。
現在、この問題の発端となったとされるメルセデスと、この新規制によって最も大きな影響を受けると考えられているレッドブルが、新しい柔軟性検査の導入時期についてお互いにけん制し合う状況が続いている。
その一方で、バスールはそもそもなぜこのルールがこのタイミングで変更されなくてはならないのかということに疑問を抱いているようだ。
確かに、やはり柔軟性の大きなリアウイングを使用していると考えられている今年のアルファロメオは2020年よりも明らかにパフォーマンスが向上している。だが、FIAが新基準を導入すれば、現在使用しているリアウイングを修正する必要が生じることになるだろう。
さらに、アルピーヌも同様にリアウイングを大幅に造りかえる必要があると考えられている。
「ほとんど全てのチームがそうしなくてはならないはずだ」
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』にそう語ったフランス出身のバスールは次のように続けた。
「我々は誰もがルールの限界ぎりぎりまで攻めている。それがF1のDNAなんだ」
「ルールがあったし、それは明確なものだった。1000ニュートンの加重で1度のたわみだ。今後それ(加重値)が増えるわけだから、それに対応する必要がある」
「ただ、このルールをシーズンの途中で変更するのは理想的ではないと思う。パーツを一から開発・生産しなければならないわけだからね。それによって風洞にかけた時間も無駄になるかもしれないんだ」
バスールは、アルファロメオではすでに大幅に技術ルールが変更となる2022年シーズンに向けた新車開発の方に力を入れてきていることもあり、2021年型マシン用のパーツを再開発することになるのは自分たちのような小規模チームには非常に大きな痛手となると語り、次のように続けた。
「そして、我々全員がコストを削減しようとしているところにこれだ。それは正しいアプローチではないよ」
「ルールを変えたいのであれば、こういう形ではなく、まだクルマが開発段階にある冬の間に行うべきだよ。ルールを作るのは私ではないが、私に言わせればタイミングが悪いよ」