マクラーレン、アルピーヌ、そしてアルファロメオが、レッドブルをはじめとするいくつかのチームが2021年の空力ルール変更により大きな恩恵を受けたという考え方に反論を行った。
最近、F1と統括団体であるFIA(国際自動車連盟)は、過去7年にわたってF1を支配し続けているメルセデスを不利にする目的で2021年の空力ルール変更を導入したに違いないという議論が起こっていた。
そうした考え方を持つ者たちは、その空力ルール変更によってメルセデス、そしてそのメルセデスと技術提携契約を結んでいるアストンマーティンの戦闘力が昨年より相対的に低くなってしまっただと考えているようだ。
逆に言えば、今年の空力ルール変更はメルセデスにとって最大のライバルであるレッドブルを有利にするために意図的に導入されたものではないかとさえ考えている者もいるわけだ。
アストンマーティンのチーム代表を務めるオットマー・サフナウアーはドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語り、2021年の空力ルール変更によりマシンのフロアによるダウンフォース発生量が削減されてしまったことで、そこに強みがあったメルセデスやアストンマーティン(旧レーシングポイント)が不利になり、逆に大きなレーキ角(マシンの前傾角度)が特徴となっているレッドブルにはそれほどのデメリットはなかったのだと示唆している。
「新ルールが我々のようなチームに大きな打撃を与えていることは明らかだよ」
しかし、マクラーレンのテクニカルディレクターを務めるジェームズ・キーは、レッドブルを筆頭とする大きなレーキ角を特徴とするマシンを持つチームが新ルールによってチャンスを得たと言うのはあまりにも単純過ぎる発想だと次のように語っている。
「もしもレーキ角が影響を及ぼすとしても、それはほんのわずかだよ」
「2021年に向けた開発は、どのチームも昨年よりも1秒遅いクルマでスタートしたんだ。重要なのは、そこからどう開発を進めたかということだよ」
アルピーヌのエグゼクティブディレクターを務めるマルチン・ブドコヴスキーもこの件について次のようにコメントしている。
「複雑な空気の流れと、それがほかのコンポーネントとどのように相互作用するかが重要なんだ」
「だから、その説はあまりにも単純過ぎるね」
また、レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは次のように述べている。
「私はパッケージ全体が重要なのだと思っている。それにタイヤの要素もあるからね」
さらに、アルファロメオのテクニカルディレクターであるジャン・モンショーもレーキ角の違いが現在のレッドブル・ホンダとメルセデスとの差を生んでいるとは考えていないようだ。
「本当に明確な答えを出すには、メルセデスとレッドブルをパラレルワールドに置く必要があるよ」
そう語ったモンショーは次のように付け加えた。
「レーキ各が大きいか小さいかでマシンの反応が違ってくることは想像できるが、結局のところ、それによって0.5秒も違ってくるとは思わないよ」