レッドブル首脳のヘルムート・マルコが、もしマックス・フェルスタッペンがアルファタウリ・ホンダF1マシンに乗っていたら、ピエール・ガスリーよりもコンマ2.5秒は速く走ることができると主張した。
2021年のF1開幕戦バーレーンGP予選では、2021年型アルファタウリ・ホンダF1マシンを駆ったガスリーが5番手となるパフォーマンスを見せた。
だが、レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるマルコは、もしもフェルスタッペンがガスリーと同じアルファタウリ・ホンダF1マシンで走ったならばもっと上位で予選を終えていたはずだと次のように語った、
「マックスなら予選で間違いなくコンマ2秒もしくは3秒は伸ばせていただろうね。彼はガスリーのタイムからコンマ2.5を引いたタイムを出していたと思うよ」
「だが、間違いなくそれでは彼がポールをとることはできなかったがね」
ちなみに、仮にフェルスタッペンがアルファタウリ・ホンダのマシンに乗ってバーレーンGP予選でガスリーのタイムをコンマ2.5秒上回っていたら、ルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスのメルセデス勢に割って入ることができていたことになる。
ともあれ、マルコがこういうコメントを行ったのは、3月22日に公開された『The Players’ Tribune(ザ・プレーヤーズ・トリビューン)』に掲載されたガスリーの発言を意識してのことだと考えられている。
ガスリーはその中で、レッドブルで戦っていた2019年にシーズン途中で再びトロロッソ(現アルファタウリ)に降格された経緯などについて書いており、自分がプレシーズンテストにおいてクラッシュしたことをきっかけとしてチーム内の雰囲気がよくない方向へと向かい始めていたのだとしている。
「あの車で初めてミスをしたときから、みんなが少しずつ僕を攻撃し始めたように感じていた」
そう書いたガスリーは次のように続けている。
「冬のテストで僕はクラッシュしてしまい、あのときからシーズンをうまく始めることができなかった」
「その後、レッドブルでの最初の2レースは厳しい結果に終わってしまい、メディアも僕をうんざりさせるだけだった」
「記者会見で僕が何を言っても、自分の調子についての言い訳にねじ曲げられてしまい、誰も僕をかばってなどくれなかった」
2019年シーズン前半が終えた時点でレッドブルからトロロッソに降格されたガスリーだが、翌2020年シーズンはアルファタウリと名前を変えたチームで素晴らしいパフォーマンスを示し、荒れたレースとなった第8戦イタリアGPではチャンスをうまくものにしてF1キャリア初優勝も遂げている。
もちろん、トップチームであるレッドブルへの復帰を目指していたガスリーではあるが、少なくとも今年はその望みが叶うことはなかった。レッドブルは不振が続いたアレクサンダー・アルボンの後任としてガスリーではなくレーシングポイントで走っていた経験豊かなセルジオ・ペレスをフェルスタッペンの新たなチームメートに据えたためだ。
それでレッドブルへの返り咲きをあきらめるガスリーではなさそうだが、今年は角田裕毅という手強いチームメートを迎えたことでさらにプレッシャーがかかるシーズンとなりそうだ。
ガスリーとしては、まずは非常に評判の高いルーキードライバーとのチーム内バトルに打ち勝ち、先輩F1ドライバーとしての意地を示すとともにレッドブル首脳陣に自分の存在を強くアピールしたいところだろう。