レッドブル・ホンダは2021年F1シーズンをマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスというドライバーラインアップで戦うことになるが、この2人によるチーメートバトルも大きな見所のひとつになりそうだ。
ダニエル・リカルドがルノーに移籍した2019年シーズン前半はピエール・ガスリー(現アルファタウリ)が、そして2019年シーズン後半から2020年シーズンにかけてはアレクサンダー・アルボンがフェルスタッペンのチームメートを務めていた。だが、どちらもフェルスタッペンのペースについて行くことができずに終わっている。
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』からアルボン続投を諦めた理由を尋ねられたヘルムート・マルコ(レッドブル/ドライバープログラム責任者)は次のように語った。
「一貫性に欠けていたのが決定的な要素だった」
「アルボンは何度かフェルスタッペンにコンマ6秒もの差をつけられていた。それではF1タイトルを勝ち取ることはできないよ」
レッドブルは昨年限りでレーシングポイントのシートを失ったペレスをアルボンの後任に据えることにしている。これまで自分たちが若いときから育ててきたドライバーを起用する方針を貫いてきたレッドブルとしては異例のドライバー人事だと言えるが、ペレスには10年のF1経験があるとともに、メルセデスのF1エンジンで走った経験を有していることもレッドブルにとって大きな魅力だったようだ。
「パフォーマンス、反応性、ドライバビリティーなど、彼は多くの情報をもたらすことができるからね」
そう認めたマルコは、ペレスの起用は商業的にも意味があるものだと微笑みを浮かべながら次のように付け加えた。
「メキシコGPのパドッククラブチケットはあの(ペレス獲得)発表の後5分で売り切れたよ」
だが、フェルスタッペンは、相手が誰であろうと自分はチームメートに負けるつもりはないとペレスに対して警鐘を鳴らしている。
「最終的には、僕は全員を打ち負かすだけさ」
母国オランダの『Ziggo Sport(ジッホ・スポルト)』にそう語った23歳のフェルスタッペンは次のように付け加えた。
「僕の父も常に言っているんだ。チームメートを叩きのめさなくてはならないってね」
だが、フェルスタッペンはペレスも同じようにチームメートに勝つことを目指してくるのは分かっている。
「もちろん、チームメートよりも速く走らなくてはならない。セルジオも同じことを狙ってくるのは分かっているよ」
そう続けたフェルスタッペンは次のように付け加えた。
「それはいいことだと僕は思う。それが2台のマシンでチームを前進させる唯一の方法なんだ。ダニエル(リカルド)がいたときのレッドブルがそうだったようにね」
だが、新しいチームでの挑戦に臨むペレスにとって不安要素がないわけではない。現在ペレスは母国メキシコにいるが、イギリス政府がcovid-19対策として入国を厳しく制限していることからレッドブルのファクトリーを訪れてシミュレーター作業を行うことができない状態が続いているためだ。
「我々のドライバーコンビが(メルセデスの)ハミルトンとボッタスに比べてどうなのかは彼(ペレス)が我々のクルマに乗り込むまでは分からない」
「だが、昨年後半のペレスの調子は右肩上がりだった。彼は常にいいポジションにつけていたし、マシンやレースにいい感触を持っていたよ」
そう語ったマルコは、ペレスと共に2021年のドライバー候補だと考えられていたニコ・ヒュルケンベルグに言及しながら次のように付け加えている。
「ペレスはシーズンを通じて自分の力を示すことができたが、ヒュルケンベルグはそうではなかった」