現F1チャンピオンチームのメルセデスと今季最大のライバルとなると見なされているレッドブルの戦いがかなりヒートアップしてきている。
●【決勝レース結果】2020年F1第1戦オーストリアGP決勝レースのタイム結果
先週末についに2020年のF1シーズンがオーストリアのレッドブルリンクで開幕したが、メルセデスとレッドブルの争いは単にサーキット上でのドライバー同士の戦いだけにとどまらないものになっている。
オーストリアGPが開幕した3日(金)にはメルセデスが今季型マシンに投入した革新的ステアリングシステムであるDASに対してレッドブルが正式に異議申し立てを行った。
さらに、決勝日(5日)の朝にはレッドブルが前日の予選でルイス・ハミルトン(メルセデス)が黄旗を無視していたことを示す映像を新証拠として統括団体であるFIA(国際自動車連盟)に提出。
FIAはDASへの異議申し立ては却下したものの、ハミルトンの黄旗無視に関しては前日の“無罪判定”を覆し、レース直前になって3グリッド降格処分が申し渡されるという結果となった。
こうしたレッドブルの動きに関し、メルセデスF1チームCEOのトト・ヴォルフは『Speed Week(スピードウィーク)』に次のように語った。
「レッドブルが我々に対して抗議行動を起こさなかったのは土曜日だけだ」
「金曜日に行われた異議申し立てはフェアプレーだったと思っている。だが、日曜日のは違うね」
「日曜日の朝に新たな証拠を持ち出して昨日の決定を覆すのは、ルールでは認められている」
「だが、もはやグローブがはずされたのは明らかだ」
ここで補足すると、『グローブをはずした』というのは、ボクサーがグローブをはずして素手で殴り合う状況から来た英語表現だ。つまり、もはや相手を徹底的に痛めつけるために手加減はしない状態になったというわけだ。
そして、日曜日に行われた決勝では終盤にセーフティカーが導入された際にソフトタイヤに履き替えてメルセデス勢を追いかけ始めたアレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)がハミルトンをオーバーテイクした際に両者が接触するというアクシデントも発生。
このクラッシュによりアルボンだけがスピンを喫し、優勝さえ狙えるかと思われたところで一気にポイント圏外に落ちるというレッドブルにとっては非常に痛い結果となってしまった。
このクラッシュに関してFIAはハミルトンの非を認定し5秒加算ペナルティを科した。その結果ハミルトンは2番手でチェッカーを受けたものの、正式結果は4位で終えている。
レッドブル首脳のヘルムート・マルコはこれに関して非常に憤っており、F1のペナルティ制度そのものの見直しが必要だと主張している。
レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは2019年のF1ブラジルGP決勝でもやはりアルボンがハミルトンに接触されて表彰台を逃すという事件があったことに言及しながら次のように語った。
「結局のところ、あれはルイスの判断ミスだったんだ。だが、彼が謝ってくれればそれでいいんだがね」
ともあれ、今後メルセデス対レッドブルの戦いが場外戦も含めてさらに過熱してくるのは間違いなさそうだ。