F1の前最高責任者であるバーニー・エクレストンが、FIA(F1統括団体である国際自動車連盟)とフェラーリがかわした“秘密の合意”を強く批判した。
2020年のF1シーズン開幕直前にFIAがフェラーリとの間でF1エンジン疑惑に関する調査を終えるという“合意”に達したことを発表したが、そこに至る詳細が何も明らかにされていなかったことからライバルチームたちの強い反感を呼ぶ結果となった。
フェラーリ、そしてフェラーリからF1エンジン供給を受けているアルファロメオとハースを除く7チームが4日(水)に共同声明を出し、今後法的手続きに訴える可能性も示唆するなど、この問題は今やF1における政治問題へと発展している。
FIAはこれに対して新たな声明を出し、下部組織である世界モータースポーツ評議会において今回の件に関してはジャン・トッド会長を全面的に支持することが決議されたと反論するとともに、F1の「名声やイメージを損なうようなコメントには強く争う」という姿勢を見せている。
しかし、エクレストンはその声明に真っ向から立ち向かうようなコメントを行っている。
「もしフェラーリがすべてルールに則ってやっていたのなら、どうして彼らがFIAと秘密の取引をする必要があったと言うのだろう」
スイスの『Blick(ブリック)』にそう語ったエクレストンは『f1-insider.com』に対してもライバルチームたちは法的手段に訴えるべきだと次のように主張している。
「彼ら(ライバルチーム)はFIAを訴えるべきだよ。彼らにとっては何百万(ドル)にも値するものだと私は思うからね」
「フェラーリが潔癖で無実であるなら、なぜ彼らはジャン・トッドとそんな取引をしたんだい? 私に言わせればそれだけで告白したも同然じゃないか」
2017年にF1新オーナーとなったリバティ・メディアによって最高責任者の座を追われたエクレストンだが、自分だったら今回の問題にももっとうまく対応できたはずだと考えているようだ。
「以前も何度か私が火消しをしなければならないことがあったよ」
そう語った89歳のエクレストンは次のように付け加えた。
「私の時代には、常にチームたち、FIA、そして私自身の間で意見の一致を見ることが可能だった。だが、そうするにはもう遅すぎるよ」