今季ザウバーでテストドライバーを務めているコロンビア出身の女性ドライバー、タチアナ・カルデロンは、新たに発足する女性だけのフォーミュラカーシリーズにはあまり興味がないようだ。
■F1マシン走行チャンスを得たカルデロン
10月3日に25歳となったばかりのカルデロンは今週火曜日(30日)メキシコのエルマノス・ロドリゲス・サーキットで初めてザウバーのF1マシンを実際に走行させる機会を得た。
今回の走行は“フィルミングデー”と呼ばれる宣伝を目的とした撮影のためのもので、走行距離も100kmまでとなる。
だが、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)が認めた公式なF1マシン走行セッションを女性ドライバーが担当するのは、2014年に当時ウィリアムズのテストドライバーだったスージー・ヴォルフがイギリスGPとドイツGPのフリー走行1回目に出走して以来のこととなる。
「もちろん、ワクワクしているわ」
ドイツの『Bild(ビルト)』にそう語ったカルデロンは次のように付け加えた。
「大きな前進ですもの。でも、このときのためにすごく長い間頑張ってきたわ」
カルデロンがモータースポーツに興味を持ったのは9歳のときだったという。
「母はあまり(レースが)好きじゃなくて、私にテニスをやらせたかったの。でも、父は好きだったから支援してくれたわ」
そして、今ではスイスに本部を置くザウバーもカルデロンを支援している。
「彼女はうまくなってきているし、覚えも早いよ」
ザウバーのチームマネジャーを務めるベアト・ツェンダーはそう語ると、次のように続けた。
「タチアナは、火曜日にF1カーのハンドリングに慣れなくてはならない」
「だが、そのうち本当のF1カーでのテスト機会も来るだろう」
■Wシリーズは自分にとっては後退
一方、元F1ドライバーのデビッド・クルサードらが中心となって発足準備が進められている“Wシリーズ”と呼ばれる女性だけのフォーミュラカー選手権については、カルデロンは少し複雑な思いを抱いているようだ。
カルデロンは男性ドライバーに勝つのが自分の目標であり、そのために1日に6時間はトレーニングに費やしていると語り、次のように続けた。
「女性は生まれつき男性よりも筋肉が30%少ないの。だから、私はもっと頑張る必要があるの」
「特に首の筋肉をね。私はそのあたりに関してはすでに9cmも増えたわ」
“Wシリーズ”についてどう思うかと尋ねられたカルデロンは次のように答えている。
「そうね、若い女の子たちをフォーミュラカーに導くためにいいことなのは確かね」
「でも、私にとっては一歩逆戻りだわ。そこで使われるのはF3マシンだし、私はF2を目指しているの」
すでに2013年からヨーロッパF3に挑戦し、2016年と2017年にはGP3で走ったことがあるカルデロンにとっては女性だけのF3シリーズに参戦するのが後退のように感じられるのは事実だろう。
カルデロンは次のように付け加えている。
「それに、私はいつも最高のドライバーたちを自分の基準にしているの」