レッドブルではジュニアチームであるトロロッソの2019年ドライバーラインアップ決定にもっと時間をかけることになるようだ。
最近では、昨シーズンの途中で契約を解除されていたダニール・クビアトが再びトロロッソに復帰するとともに、メルセデスとの契約を解除したパスカル・ウェーレインがそのチームメートとして2019年シーズンを戦うことになりそうだとの報道もあった。
そして、少し前には次戦F1第16戦ロシアGP(30日決勝)が開催されるソチでトロロッソ・ホンダの2019年のドライバーラインアップが発表されることになりそうだとのうわさもささやかれていた。
■ソチで発表されるのは1人だけ
しかし、レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)はこのほど次のように語った。
「現時点では、ソチで1人のドライバーを発表する計画にしている」
「1人のドライバーとの契約を早く済ませることが重要なんだ。もうひとつのコックピットに座る者についてはそれほど急いではいないよ。冬のテストまでだって待つことはできる」
ソチで発表が予定されているドライバーとは、ロシア人ドライバーのクビアトだと考えてまず間違いないだろう。
だが、マルコが語った冬のテストが行われるのは例年だと2月下旬ということになる。そこまでドライバー決定を遅らせる可能性があるというのはどういうことだろうか?
■レッドブルの狙いはティクトゥム昇格か
フィンランドの『Turun Sanomat(トゥルン・サノマット)』は、レッドブルではジュニアドライバーのダン・ティクトゥムをF1に昇格させるチャンスを待つことにしたようだと報じている。
19歳のイギリス人ドライバーであるティクトゥムは現在ヨーロッパF3選手権に参戦しており、あと2ラウンド(6レース)を残した現時点でランキングトップに位置している。
だが、仮にティクトゥムがタイトルを獲得できたとしても、それだけではF1昇格が可能となるだけのスーパーライセンスポイントを稼ぐことはできない。
そこで、レッドブルとしてはティクトゥムをアジアF3ウィンターシリーズに参戦させ、そこで足りないスーパーライセンスポイントを稼がせることで2019年のF1昇格を可能にしようと計画しているというのだ。
『Turun Sanomat(トゥルン・サノマット)』は次のように付け加えている。
「シンガポールでレッドブル関係者が明らかにしたところによれば、それらのレースでティクトゥムを競争力のあるクルマに乗せるための交渉が行われているようだ」
■ティクトゥム対シューマッハのF3タイトル争いに
そうしたレッドブルのティクトゥム起用作戦の前に立ちはだかるのはミック・シューマッハかもしれない。
少し前まではティクトゥムのヨーロッパF3タイトル獲得はほぼ間違いないとさえ考えられていた。
だが、スパ・フランコルシャンで行われた第5ラウンドの第3レースでF3初優勝を達成したシューマッハがその後の9レースで5勝をあげ、ティクトゥムとのポイント差を一気に3ポイントに縮めてランキング2位に浮上している。
もし残りの6レースでも7度F1王者となったミハエル・シューマッハの息子の勢いが止まらなければ、レッドブルとトロロッソのもくろみが大きく狂ってしまう可能性もある。
ともあれ、レッドブルとトロロッソは、10月14日に最終戦が予定されているヨーロッパF3のシーズン終了を待って、次の策を講じることになりそうだ。