2018年F1第11戦ドイツGPが7月22日(日)、ホッケンハイムリンク(全長4.574km)で3日目を迎え、現地時間15時10分(日本時間22時10分)から行われた決勝でメルセデスのルイス・ハミルトンが優勝した。今季4勝目、通算66勝目。
●【画像:決勝レース結果表】2018年F1第11戦ドイツGP決勝レースのタイム、周回数、ピット回数
■ハミルトンがオーバーテイクショーを展開
降水確率60%との予想のもとでスタートした決勝だが、スタートでは上位勢に大きな変動はなくポールポジションスタートのセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)がトップをキープ。それにバルテリ・ボッタス(メルセデス)、キミ・ライコネン(フェラーリ)、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が続いていく。
14番グリッドからここに持ち込まれたドライタイヤの中で中間に位置するソフトタイヤでスタートしたハミルトンは周回を重ねるごとに順位を上げ、レースが4周目に入ったときにはトップ10圏内に浮上する。
レースが15周目に入ったとき、3番手を走行していたライコネンがピットに入り、ここでソフトタイヤに交換。残り周回数を考えれば2回ストップ作戦かと思われた。その間にハミルトンは3強チーム以外のドライバーたちをすべてオーバーテイクして5番手にまでばん回していたが、ここでライコネンがハミルトンの前でコース復帰し、ハミルトンの頭を押さえる形となった。
■リカルドに悪夢のマシントラブル
規定数を超えるPUコンポーネント投入によるグリッド降格で19番グリッドからスタートしていたダニエル・リカルド(レッドブル)もレースが20周目を迎えるころにはトップ10に入ってきた。このころからピットに入ってタイヤ交換を行うドライバーが増え始める。
26周目に先頭を走行していたベッテルがピットインし、ウルトラソフトタイヤからソフトタイヤに交換。ベッテルはライコネンとハミルトンの間でコースに復帰する。
レースが29周目に入ったところでリカルドがコース脇にクルマを止めてしまう。PUコンポーネントの一部を交換して臨んだリカルドだったがリタイアでレースを終えることになってしまった。
■フェラーリが盤石の1-2体制
30周目に暫定トップの位置にいたフェルスタッペンがピットインし、これでライコネンがトップ、ベッテルが2番手に浮上。ハミルトンが3番手、ボッタスが4番手でフェラーリを追う形となる。
39周目にはライコネンが順位を譲る形で再びベッテルがトップの座に戻る。ベッテルは新しいタイヤの利を生かしてライコネンとのギャップを広げ始める。この時点ではこのレースでフェラーリが1-2フィニッシュを達成する可能性が極めて高いと考えられた。
43周目にはハミルトンがピットインしてウルトラソフトに交換。ハミルトンはフェルスタッペンの後ろ5番手でコースに戻った。
■命運を分けたホッケンハイムの雨
レースが44周目に入ったころに、ターン6付近を中心にかなり大粒の雨が落ち始める。だが、ターン6があるコースの東側は激しい雨が降り、西側に位置するホームストレート付近には日差しが降り注ぐという難しいコンディションとなった。
しかし、これがチャンスとみたザウバーは45周目にシャルル・ルクレールにピットインを指示し、浅溝の雨用タイヤであるインターミディエイトに交換。これに呼応するようにフェルナンド・アロンソ(マクラーレン)とガスリーもピットイン。アロンソはインターミディエイトでコースに戻るが、トロロッソではガスリーに深溝のウエットタイヤを装着するというギャンブルに出た。47周目にはレッドブルのフェルスタッペンもインターミディエイトに交換する。
だが、その後雨脚が強まることはなく、逆に小降りとなり始める。雨用タイヤに交換したドライバーたちはギャンブルに失敗した形となり、またピットに戻りドライタイヤに交換。フェルスタッペンはこれでハミルトンに先行を許し5番手に下がってしまう。
■ベッテルが地元でまさかのクラッシュ
ところが、52周目に先頭を走行していたベッテルがぬれた路面に足をすくわれてしまいウォールにクラッシュするという大波乱が起きてしまう。ベッテルはステアリングを何度もたたいて悔しがるがここで無念のリタイアとなってしまった。
ベッテルのマシンを撤去するために、ここでセーフティカーが導入される。ここでボッタスとライコネンがピットに入りウルトラソフトタイヤに交換。これでハミルトンがトップに浮上。2番手ボッタス、3番手ライコネン、4番手フェルスタッペンという順序となる。
■トロロッソ・ホンダは終盤に激しいポイント争い
残り周回数が10周となるところでセーフティカーが戻り、レースがリスタートされるとボッタスが猛然とハミルトンに襲い掛かりいったんは前に出る。だが、ハミルトンもすぐにまたボッタスを抜き返すというメルセデス勢同士の激しいトップ争いが展開される。だが、その後ボッタスが急激にペースを落とす。間違いなくチームからの指示が出されたものだ。
雨が降り始めたときに雨用タイヤに交換するというギャンブルに失敗したドライバーが数名いたことで、この時点ではトロロッソ・ホンダのブレンドン・ハートレーが9番手に位置していた。だが、62周目にまずハースのロマン・グロージャンがハートレーをオーバーテイク。さらに63周目にはカルロス・サインツ(ルノー)もハートレーをとらえ、これでハートレーはポイント圏外の11番手に落ちてしまった。
ところが、サインツがセーフティカー導入中にほかのクルマを追い抜いていたため、サインツに10秒ペナルティーが科されることがアナウンスされた。このときハートレーの背後にはハースのケビン・マグヌッセンが迫っていた。
■ハミルトンとメルセデスがランキングトップ奪還
結局レースはそのままファイナルラップを迎え、14番グリッドからスタートしたハミルトンが劇的な優勝を飾った。2位にはボッタスが入り、メルセデスが地元ドイツで1-2フィニッシュを達成。ハミルトンはこれで再びドライバーズランキングトップに返り咲き、メルセデスもフェラーリを逆転してコンストラクターズランキングのトップに返り咲いた。
■ハートレーが今季2回目のポイント獲得
ハートレーは懸命にマグヌッセンの攻撃をしのぎ11番手でチェッカーを受けた。その後サインツのタイムに10秒が加算されたことからサインツが12番手に下がるとともにハートレーが10位に繰り上がり、第4戦アゼルバイジャンGP以来となる今季2度目のポイント獲得を達成した。
雨用タイヤに交換するギャンブルに出たチームメートのガスリーは14位、9番グリッドからスタートしたザウバーのシャルル・ルクレールも同じく賭けに失敗して15位でレースを終えている。
■決勝トップ10ドライバー(暫定)
優勝/ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2位/バルテリ・ボッタス(メルセデス)
3位/キミ・ライコネン(フェラーリ)
4位/マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
5位/ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)
6位/ロマン・グロージャン(ハース)
7位/セルジオ・ペレス(フォース・インディア)、
8位/エステバン・オコン(フォース・インディア)
9位/マーカス・エリクソン(ザウバー)
10位/ブレンドン・ハートレー(トロロッソ)
次戦2018年F1第12戦ハンガリーGPは7月27日(金)の現地時間11時(日本時間18時)に開幕。決勝は7月29日(日)の現地時間15時10分(日本時間22時10分)にスタートする。
●【トロロッソ・ホンダ】ハートレー、ライバルのペナルティで10位へ!