FIA会長のジャン・トッドは、現在のF1トップチームのクルマは信頼度が高すぎるほどだと考えている。
F1統括団体としても知られるFIAの会長を3期連続で務めることになった71歳のトッドはドイツの『Auto Bild(アウト・ビルト)』に対し、2017年のF1チャンピオンとなったメルセデスAMGのルイス・ハミルトンに言及しながら次のように語った。
■メルセデスのマシンは信頼性が高すぎる
「彼はほとんどミスをしなかった。だが、彼が信じられないほど強力なクルマを手にしていたものも事実だ。パフォーマンスと信頼性の両面でね」
「メルセデスAMGが常に最速だったわけではないが、ルイスは20レースで20回ともポイントを獲得している」
「あのクルマは信頼性が高すぎるほどだ」
■今のF1は金をかけすぎている
実際のところ、シーズン前半に好調を示していたフェラーリがタイトル争いから脱落したのは、シーズン後半にたびたび発生した信頼性問題によるものだったと考えられている。
だがトッドは、フェラーリの信頼性も決して低くはなかったし、そのために投じられたコストは非常に大きいものだったはずだと次のように続けた。
「フェラーリにも感心させられたよ」
「もう一度言おう。フェラーリとメルセデスAMGはあまりにも信頼性がありすぎた。そのためには金が必要だ。テストやシミュレーターも必要だし、そのためにはあまりにも多くの金が必要になる。いいスポーツとするために、それは必要のないことなんだ。実際のところ、逆だね」
■現行エンジンの進化版を目指そうとトッド
現在、F1オーナーのリバティ・メディア、F1統括団体であるFIA、そして各F1チームなどによって2021年以降に導入される新F1エンジンルールについての話し合いが行われている。
10月末にリバティ・メディアが示した案に関しては、フェラーリ、メルセデス、ルノーといった既存F1エンジンサプライヤーが反対の意思表示を行っている。トッドの今回のコメントはそうしたことを意識してもののであることは間違いないだろう。
「現在のエンジンはあまりにも高額すぎるし、複雑すぎる。そして音が小さすぎる」
そう続けたトッドは、次のように付け加えた。
「だが、我々はそれを基盤として新たなものを造ることができる。我々は現在、メーカーたちと現行エンジンの進化版について話をしているところなんだ。そのプロセスはまだ終わっていないよ」