ホンダでは、今後さらにパワーユニットのパフォーマンスを向上させていければマクラーレンとの関係改善につながると考えている。
■いまだ不透明なマクラーレン・ホンダの今後
2017年のF1シーズンも前半戦が終わり、現在は夏休みを迎えている。だが、依然として今季限りでマクラーレンとホンダがその関係に終止符を打つことになりそうだといううわさがささやかれ続けている。
今年4月には来季からザウバーにもパワーユニットを供給することを発表していたホンダだが、その契約も7月にキャンセルされており、もしマクラーレンと決別するということになれば、少なくとも現時点では来季ホンダがパワーユニットを供給できるチームがなくなってしまうことになる。
そんな中、ホンダF1プロジェクト責任者の長谷川祐介はスペインの『AS』に次のように語った。
「我々はザウバーとはやりません。ですから、現時点において我々がエンジンを供給するのはマクラーレンだけということになります」
しかし、最近の報道では、トロロッソが来季ホンダと手を組むことになるのではないかとも伝えられている。
このうわさについて質問を受けたマクラーレンのエリック・ブーリエ(レーシングディレクター)は次のように答えている。
「私はうわさに関してコメントするつもりはないよ。可能性がある顧客について決定を下すのはホンダだからね」
■マクラーレンに残された選択肢はホンダとルノー?
一方、マクラーレンはここまで各エンジンメーカーとの交渉を進めてきたものの、メルセデスとフェラーリからは契約を拒否されたようだとも伝えられている。そうなるとマクラーレンがもしホンダと手を切ることになった場合、2018年に搭載可能なパワーユニットはルノーに限定されることになりそうだ。
だが、ルノーパワーユニットも現時点ではパフォーマンスや信頼性の面でメルセデスやフェラーリの域に達していないのも事実だ。
■ハンガリーでは着実な進歩を見せたホンダ
こうしたことから、ホンダとしても前戦F1ハンガリーGPで示すことができたパフォーマンスと信頼性を今後さらに伸ばしていくことができれば、マクラーレンとの関係も改善されるのではないかとの期待を抱いているようだ。
ハンガリーGPでのマクラーレン・ホンダは2台ともに予選Q3進出を果たすと、決勝でもフェルナンド・アロンソが6位、ストフェル・バンドーンが10位でゴールし今季初のダブル入賞を達成。さらにレース終盤にはアロンソがファステストラップを記録するという走りも見せた。
ハンガリーGPを振り返りながら、長谷川は次のように語った。
「ある程度の結果を残すことができてうれしく思っています」
「何のトラブルも発生しませんでしたし、レースを完走できるかどうか心配しないで済んだ初めてのレースでした」
「我々がマクラーレンとの協力関係を継続したいと考えていることは疑問の余地もないことです。よりよいパフォーマンスを示すことができれば、我々は一緒に取り組み続けていけるだろうと思っています」
■スパでの戦闘力が大きなカギに
伝えられるところによれば、マクラーレンが来季ホンダ以外のメーカーからパワーユニット供給を受けるためには、遅くとも9月にはそれを決定しなくてはならないとされている。
来季もマクラーレン・ホンダが存続するのかどうか、そのカギとなるのは夏休み明け最初のレースとなる第12戦ベルギーGP(27日決勝)におけるホンダパワーユニットのパフォーマンスということになりそうだ。
ハンガリーGPの舞台となった曲がりくねったハンガロリンクとは違い、高速区間が多くエンジンパワーへの依存度も高くなるスパ・フランコルシャンでホンダパワーユニットがどれほどの戦闘力を示すことができるかに大きな注目が集まることになるだろう。