フェラーリのセバスチャン・ベッテルが、今シーズンのことや、フェラーリのこと、そしてチームメートであるキミ・ライコネンのことについて語った。
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■モンツァがカレンダーから消えなくてよかった
2017年以降のF1イタリアGP開催継続が不透明となっていたモンツァ・サーキットだが、ついに2017年から2019年までの3年契約を締結することが確定したと報じられている。そしてベッテルもこのニュースは大歓迎だとイタリアの『Corriere della Sera(コリエーレ・デラ・セラ)』に次のように語った。
「モンツァのないF1なんて想像もできなかっただろうね。そうなっていたらまさに悪夢だったよ」
「サーキットでファンのみんなと会うのが待ちきれないよ。情熱的だし、垂れ幕も掲げられ、子供も大人もサインやセルフィーを求めて列をなすんだ。魔法のようだよ」
■今季は単に不運という言葉で片付けられない
モンツァでのイタリアGP開催が継続されることを喜んでいるベッテルだが、2016年シーズンの成り行きに関してはあまり喜べるものではないはずだ。
もちろん、クルマに信頼性の問題が起きず、決勝スタート直後に2度もチームメート同士がクラッシュするというような不運さえなければもっといい成績を収めることもできていただろう。
だが、ベッテルは単に運が悪かったのだというふうには考えていないと次のように語った。
「そうは考えていないよ。うまくいくときもあれば、そうはならないときもある。F1はすべてがギリギリのところで行われているし、起きてしまった問題に関してはすべて説明がつくものだよ」
■レッドブル時代の2014年とは違う
だが、今年のベッテルに関して、まったく勝利をあげることができなかった2014年シーズンと似ていると考えている者もいる。もちろん、その年はベッテルにとってレッドブルでの最後のシーズンだった。
だが、29歳となったベッテルはそれを否定し、次のように語った。
「いや、それまで4年連続でF1タイトルを取っていたものの、2014年には大きな技術的問題を抱えてしまい、楽なシーズンを送ることができなかったんだ」
■シューマッハのように辛抱できる?
2015年にフェラーリに移籍したベッテルだが、ベッテルと同じドイツ出身の先輩ドライバーであり、かつて7度F1王座についたミハエル・シューマッハがフェラーリで初めてF1タイトルを獲得できたのは移籍5年目のことだった。
そのときのシューマッハ同様、今はただ耐えるしかない状態なのかと尋ねられたベッテルは、「う~ん、すごく難しい質問だね」と答え、次のように続けた。
「もし僕が彼(シューマッハ)が(フェラーリで)達成した勝利の半分だけでも勝つチャンスがあれば、待つだけの価値はあるだろうね。だけど、F1は忍耐のスポーツじゃないよ」
「僕たちは差を縮めようと必死に頑張ってきた。だけど、僕たちにはまだレースで勝てるだけの力はないし、それを隠そうとしても意味のないことだよ」
■F1キャリアをフェラーリで終えるかどうかは分からない
さらに、このままF1キャリアをフェラーリで終えたいと考えているのかと質問されたベッテルは、笑いながら次のように答えた。
「どうして? 僕のことを年寄だと思ってる?」
「そんなことは考えたこともなかったよ。だってまだずいぶん先の話だからね。僕の最大の挑戦はフェラーリで勝つことだし、そのためには心とエネルギーすべてをそそいでいくよ」
■ライコネンとの関係悪化はない
2016年シーズンには、ここまで2度もスタート直後にチームメートのキミ・ライコネンとベッテルが接触する事故が起きている。ベッテルにとっては仲のよい友人であることが知られているライコネンだが、こうしたことによりその関係に変化が生じてきたりはしていないのだろうか?
その件に関して質問されたベッテルは、「いや、まったくそんなことはないよ」と答え、次のように続けた。
「僕たちはお互いに相手のことが好きだし尊敬もしている。それはチームにとってもすごくいいことなんだ。僕たちはどちらも勝ちたいと思っているし、まだそれができる状態ではないことも分かっている。だから僕たちはできる限りクルマをよくしようと取り組んでいるよ」
「キミと僕はタイプがかなり違うし、僕のほうがおしゃべりであることは間違いないよ。だけど、エンジニアと一緒のときはクルマの状態について彼はたくさんフィードバックしているよ」とベッテルは結んだ。