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アロンソ事故で再燃する“ハロー”問題

2016年03月22日(火)17:15 pm

今年のF1開幕戦オーストラリアGP決勝(20日)で起こったフェルナンド・アロンソ(マクラーレン)の大クラッシュにより、再びドライバー頭部保護装置“ハロー”に関する議論が活発化している。

●【動画・画像】大クラッシュのアロンソ、自力脱出で母親に「大丈夫だよ!」

■奇跡的に無傷だったアロンソ

翌日の月曜日(21日)にメルボルンのビーチでひざに軽く包帯を巻いたアロンソが目撃されていた。だが、アロンソは母国スペインのラジオ局『Cadena Cope(カデナ・コペ)』に対し、「氷で冷やす」以上の治療は何も必要ないと語り、次のように続けた。

「今朝チームドクターがやってきて、旅をするのも問題ないと言ってくれたよ。前にも言ったけれど、僕は大丈夫だよ」

「これから先も何か問題を抱えるとは思っていない」

「身体は少し痛いよ。大きな洗濯機の中でかき回されたようなものだからね。だけど僕にはきずひとつないし、腫れたりなどもしていない。2、3日もすればまた自転車にだって乗れるようになるよ」

だが、メルボルン版『Herald Sun(ヘラルド・サン)』紙は、アロンソのことを「命をとりとめた最も幸運な男」だと第1面で報じていた。

■“ハロー”はドライバー脱出の妨げに?

そして、今回の事故をきっかけに、F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)が2017年からの導入を目指しているハローに関する意見が再び沸騰してきている。

メルセデスAMGの非常勤会長であり、かつて3度F1王座についた元F1ドライバーのニキ・ラウダは「今回の事故では、ハローは何の役にもたたなかっただろうね」と『Bild(ビルト)』に語った。

ラウダは、1976年にニュルブルクリンクで開催されたドイツGPでクラッシュ。クルマは炎に包まれた。なんとか助け出されたラウダだったが、頭部を中心に大やけどを負った経験を持っている。

実際、今回の事故では、幸いにもアロンソは事故後ほとんど原形をとどめないほどに大破したクルマからすぐに自力で脱出することができていた。だが、もしF1カーにハローが備えられていたら、そう簡単にクルマから脱出することはできなかっただろう。

そして、もしあのときF1カーから火の手が上がっていたとしたらどうなっていただろうか?

■頭が何かにぶつからないか心配だったとアロンソ

アロンソは事故当時のことを次のように続けた。

「僕は自分がサーキットのどこにいるのかよく分からなかったんだ。そして逃げ出せるスペースが見えたから、念のため外に出るよと言ったんだ」

「壊れたパイプや、かなりの量の液体がこぼれているのが見えた。だから言ったんだ。外に出たいとね」

アロンソは恐らく無線を通じてチームと連絡を取ることができる状態だったようだが、マシンが宙に舞い、何度も地面にたたきつけられながら回転しているときは、自分の頭部が何かに激突するのではないかとの恐怖にかられていたことも認めている。

「ああいうときは、コックピットの中で身をかがめるようにするものさ。頭がウォールや地面にぶつからないよう、身体を縮めようとするんだ」とアロンソは付け加えた。

■ハローは再考すべきだとF1解説者

幸いにも、今回の事故では、アロンソの頭部はどこにもぶつからず、クルマから火災が発生することもなかった。

今回のオーストラリアGP決勝中に唯一火に襲われたのは、レース途中でクルマのトラブルによってリタイアしたフェラーリのキミ・ライコネンだった。クルマの不調によりピットへ戻ってきたライコネンだが、クルマを止めたとたんにエアインテークから炎が噴き出し、ライコネンのヘルメットを包み込みそうになっていた。

だが、ライコネンは、もし自分のクルマに“ハロー”が付いていたとしても何も変わらなかったはずだと次のように語った。

「違いはないよ。それでも外へは出られるからね」

アロンソのチームメートであるジェンソン・バトン(マクラーレン)も、今回の事故によってハロー装着を疑問視する声があるが、頭部を保護するという大きな目標のほうが重要だとの意見を述べている。

しかし、ドイツ出身の元F1ドライバーであり、現在はF1解説者を務めているクリスチャン・ダナーは、次のような主張を行った。

「安全問題の専門家はもう一度よく検討する必要がある。ハローが付いていたら、彼(アロンソ)はあれほど簡単にクルマから出られなかっただろうからね」

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