『Blick(ブリック)』紙のベテランF1記者のロジャー・ブノワが、メルボルンのビーチでフェルナンド・アロンソ(マクラーレン・ホンダ)と遭遇したが、そのときアロンソはひざに包帯を巻き、顔をしかめていたと伝えている。
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20日(日)に行われた2016年F1開幕戦オーストラリアGP決勝で、アロンソがハースのエステバン・グティエレスと時速300kmのスピードでクラッシュし、そのまま何度も地面にたたきつけられながら宙を舞ってウォールに激しく激突する事故を起こしたことはすでに大きく報じられている通りだ。
アロンソはブノワに対し「夜もあまり眠れなかったし、肋骨(ろっこつ)に痛みがある」と語ったという。
■ “ハロー”には検討の余地ありとアロンソ
だが、あれだけ大きなクラッシュだったにもかかわらずアロンソがほとんど無傷で生還できたということで、現在のF1カーがいかにドライバーの安全を確保できるように造られているかということに感心した者も多かったはずだ。
だが同時に、今回のクラッシュにより、現在2017年からの導入が検討されている“ハロー”と呼ばれるドライバー頭部保護装置に関する新たな議論も生まれている。
アロンソは、事故後すぐに原形をとどめないほどに大破したF1カーから自力で脱出し、観客席に向かって手を振っていたが、もし今回アロンソのマクラーレン・ホンダMP4-31に“ハロー”が備え付けられていたら、アロンソがあれほど速やかにクルマから脱出することができていただろうか?
そのことについて質問を受けたアロンソは、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語った。
「興味深い問題だね。今後検討の余地があると思うよ」
■それでも頭部保護は必要
だが、アロンソのチームメートであるジェンソン・バトンは、“ハロー”が備えられていたら確かに今回のアロンソのようにクルマからすぐに脱出することはできないかもしれないものの、だからといってコックピットを保護しなくてよいという議論にはならないと考えている。
「(クルマから)火が出たらどうするんだという人たちもいる。だけど、ここ何年にもわたって事故によって火災になったケースがどれほどあったかな?」
『Speedweek(スピードウィーク)』にそう語ったバトンは、次のように続けた。
「確かに、フェルナンドのような事故では脱出するのにもう少し時間がかかることになるだろう。だけど一番大切なことはアロンソが大丈夫だったということだし、頭が衝撃を受けることのリスクのほうがもっと大きいってことだ」
「それ以外の議論はかなり的外れだよ」とバトンは結んでいる。