2015年のF1シーズンも終わりを告げたが、再びレッドブルの来シーズンのエンジンに関するさまざまなうわさが渦巻いているようだ。
■チーム内対立の事実を認めたラウダ
夜の港街に明るく浮かび上がったアブダビのヤス・マリーナ・サーキットで、メルセデスAMGの非常勤会長であるニキ・ラウダは、当初レッドブル総帥のディートリッヒ・マテシッツと握手を交わし、2016年にメルセデスエンジンの供給を行うことを約束していたことを認めた。
「レッドブルのような力を持ったチームがF1エンジンを見つけられないというのは間違っているよ」
『Welt am Sonntag(ヴェルト・アム・ゾンターク)』紙にそう語ったラウダは、次のように続けた。
「そして、メルセデスが彼らにエンジンを供給しないというのは、私の考えではなかった」
「勝利するためにはすべてのチームを打ち負かさなくてはならないというのは、私の競争精神には反するものだ。だが、それに関してはほかの意見もあった。私はそれを受け入れたよ」
ラウダに関しては、この件が引き金となって、シーズン後にはメルセデスAMGを離脱するのではないかとのうわさもある。
■来季レッドブルにエンジン供給するのはホンダ?
一方、レッドブルでは来季のエンジン調達のめどがたったことを明らかにしている。しかし、そのエンジン供給元について具体的な発言を行うことはなかった。
大方の見方では、事実上けんか別れのような形となっていたものの、当初の契約に従って来季もルノーエンジンを搭載することになると考えられている。だが、そのルノーにはF1から撤退してしまう可能性もいまだ残されていると報じられている。
そんな中、レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーが、今季のF1最後の決勝が行われたアブダビで29日(日)に、2016年に搭載することになるエンジンに関して次のような意味深な発言を行ったと伝えられている。
「何と呼ばれるもの(エンジン)になるか、もう少し成り行きを見ていてくれたまえ」
『BBC』にそう語ったホーナーは、次のように続けた。
「かなりいいものになるよ。ロン・デニス(マクラーレン総帥)がそれを聞いてよろこぶとは思わないがね。いずれにしても、彼には最近あまりよろこべることはなかったはずだが」
ホーナーの発言は、あたかもマクラーレンにワークスエンジンを供給しているホンダからエンジンの提供を受ける可能性を示唆しているように見える。だが、マクラーレンではホンダとの契約に盛り込まれていた拒否権を発動し、ホンダがレッドブルへカスタマーエンジンの供給を行うことを拒んだと考えられている。
■ホンダはマクラーレンの意向を受け入れたとデニス
デニスは、アブダビで次のように主張していた。
「それ(拒否権)はホンダも完全に受け入れたよ。だが、最終的には誰かが立ち上がって、『そういうことは起きない』と言わなくてはならなかったんだ」
だが、レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコも、アブダビでF1公式サイトに対して次のように語った。
「ホンダは財政面と製造面のいずれに関してもしっかりと責任を負うと言ったよ」
「私の見たところ、彼らは自分たちに失敗から学んでいるよ。だから、来年はまったく違うホンダの姿が見られるだろうと想像している」
■ルノー撤退ならメルセデスがレッドブルにエンジン供給?
アブダビでレース後に行われたパーティーでは、別のうわさもささやかれていた。それは、仮にルノーがF1からの撤退を決めた場合には、メルセデスがレッドブルに救いの手を差し伸べるのではないかというものだ。
だが、その話に水を向けられたメルセデスAMGのトト・ヴォルフ(ビジネス担当エグゼクティブディレクター)は、『BBC』でF1解説者と務める元F1チームオーナーのエディ・ジョーダンに次のように答えた。
「あなたの水晶玉がそう告げているのかな?」
「ルノーはレッドブルとの間に来年も契約があるし、我々全員がそれが履行されることを強く求めているんだ」とヴォルフは付け加えた。
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