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サーキット設計者のティルケ、F1メキシコGPを語る

2015年11月06日(金)19:44 pm

近代的F1サーキットの設計者として知られるヘルマン・ティルケが、自身が改修を担当したエルマノス・ロドリゲス・サーキットで先週末に行われた23年ぶりのF1メキシコGPでは観客の熱狂ぶりを目にして「鳥肌が立った」と語った。

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■好評だったサーキット改修

ティルケは、母国ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に対し、自分が手がけた改修がF1チームやドライバーたちから非常に好評だったことにも満足していると語った。

「これほどまで(好評)とは思わなかったよ。少し批判も受けるだろうと予想していたんだ」

「だが、アスファルトが少し滑りやすかったということを除けば、ほかには何も(苦情は)なかったよ」

実際のところ、グリップが足りない路面に関しては、レース週末を通じての大きな課題となっていた。今季自身3度目となるF1ドライバーズタイトル獲得を決めているルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)は、2位で終わったメキシコを去る際、公式タイヤサプライヤーであるピレリに対して来年以降は「このレースのための特別なタイヤを作ってよ」と語ったと伝えられている。

だが、ティルケに言わせれば、今回の低グリップは、厳しい改修スケジュールのため、完成からレースの開催までの間に十分な時間を置くことができなかったことがその原因だという。

「とにかく時間が非常に貴重だったよ」とティルケ。「アスファルトが敷かれたのはほんの3週間前だったし、その1週間後には部分的にやり直す必要もあったんだ。そうしなければ、壊れてしまっていただろうね」

■新しいサーキットでのグリップ不足は普通のこと

メキシコで今季4勝目をあげたメルセデスAMGのニコ・ロズベルグも、メキシコではグリップ不足に悩まされはしたものの、最近路面の改修が行われたサーキットの中では、特にひどいというほどのことはなかったと次のように語った。

「新しいサーキットでは少し時間がかかるのは普通のことだよ。まだアスファルトがすごく滑らかだからね。最近の新しいサーキットでもほとんどがそうだったように、これも普通のことさ」

「そういう難しさはあったにせよ、素晴らしいサーキットだった。彼ら(設計・建設従事者)は素晴らしい仕事をやり遂げたよ。レース全体がF1にとって大成功だったと思っている」

■表彰台の位置を決めたのはエクレストン

特に、今年のメキシコGPで忘れることのできない思い出を残したのは表彰式だったのではないだろうか。野球場の中を通過するレイアウトが施されたスタジアム・セクションで大勢の観客が見守る中で行われた表彰式は、これまでのF1レースでは例を見ない壮大なイベントになっていた。

だが、表彰台をあの場所に設置するというアイデアは、ティルケが考えたものではなかったようだ。

「本当のところ、あれは最初から計画されていたわけじゃないんだ。あれは我々のアイデアではなかった」

そう語ったティルケは、「あれはFOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント/バーニー・エクレストンが率いるF1商業権管理会社)が考えたんだ」と付け加えた。

■来年以降はレース自体も面白くなるはず

収容人数規模を超える大観衆が詰めかけるなど、大成功のうちに終わったメキシコGP。だが、ティルケは、最大の問題はレース自体がそれほどワクワクするような展開とはならなかったことだと次のように続けた。

「我々としては追い抜きも可能だと考えていたんだ。だが、その意味ではあまり面白いレースだったとは言えないことを認めざるを得ないね」

「ピレリが非常に保守的なタイヤ選択を行ったのも事実だ。だが、ロシアは初年度(2014年)はそれほどでもなかったが、今年はかなり面白かった」

そう述べたティルケは、次のように付け加えた。

「2、3年様子を見れば、きっとメキシコも同じようにもっと面白くなるはずだよ」

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