現在タイトルスポンサーを持たないマクラーレンだが、今季の成績悪化により、厳しい財政状況を迎えることになるかもしれないとイギリスの『Sunday Times(サンデー・タイムズ)』が報じている。
今季ここまで苦戦が続くマクラーレン・ホンダだが、現時点ではコンストラクターズランキングでも10チーム中9番手に低迷している。F1関係者の中には、今季復活を果たしたホンダのパワーユニットがシーズン後半に飛躍的な改善を遂げると予想している者は少なく、マクラーレンがかつてないほど低調な成績でシーズンを終えることになってしまう公算が大きくなってきている。
■シーズン後半にばん回の期待がかかるホンダ
だが、F1統括団体であるFIAは先週、ホンダに対してペナルティーを科されることなく各ドライバーにもう1基ずつエンジンを使用してよいことを正式に承認。ホンダでは、今後残りのトークンを最大限に利用してシーズン内の開発を進めることになる。
ホンダF1プロジェクト総責任者である新井康久は、スペインの『El Confidencial(コンフィデンシアル)』に次のように語った。
「我々は、データを分析し、トークンを用いてシーズン後半に前進することができるよう、最大限の努力を払っていかなくてはなりません」
「エンジンのパワーと信頼性を高めるためのアイデアもいくつか持っています」
「いつトークンを使うかということは、大きな秘密です!」
しかし、スペインの『El Mundo Deportivo(ムンド・デポルティーボ)』は、次戦F1ハンガリーGP(26日決勝)にも、改善されたホンダのパワーユニットがお目見えするだろうと予想している。同紙によれば、そのパワーユニットはこれまでよりも70馬力もパワーが向上されたものとなりそうだという。
■マクラーレンには財政問題不安
だが、現時点でランキング9番手という位置に沈んでいるということは、それがマクラーレンの財政面にとっても大きな打撃となるのはすでに避けられない状況だろう。F1の賞金は、成績に応じて分配されることになるからだ。
そればかりではない。2013年シーズン限りで、それまで長年にわたってタイトルスポンサーを務めてきたボーダフォンと決別して以降、マクラーレンにはタイトルスポンサー不在の状態が続いている。そして、現在のチームの状態からすれば、新たなタイトルスポンサーの登場もあまり見込めないというのが現実だろう。
業界事情に詳しい関係者は『Sunday Times(サンデー・タイムズ)』に次のように語ったと伝えられている。
「彼らは当時年間5,000万ポンド(現在のレートで約95億8,000万円)で3年契約を結んでいた。つまり、彼らは総額で1億5,000万ポンドもの予算を失ったことになる」
「現在の成績は地をはうようなものだ。彼ら(マクラーレン)はさえないシーズンを2年にわたって過ごしてきたが、今年はまさに最悪だ。スポンサーたちも額が高すぎると言うだろうし、どこかほかを探すことになるだろうね」
マクラーレンのレーシングディレクターであるエリック・ブーリエも、そうした状況を憂慮しているのは確かだ。
「今年は収入面では打撃を受けることになるし、これを補うための手段を見つけなくてはならない」とブーリエは語っている。