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今のF1に「危機」など存在しないとFIA会長

2015年05月28日(木)6:18 am

F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)会長のジャン・トッドが、現在のF1には大きな変更を加える必要があるようなものはないと語った。

最近、F1関係者の間では、F1が自ら招いてしまった“危機”により、観客やテレビ視聴者が激減し、小規模チームが経営破たんに陥る危険を招いてしまったとの声が強くなっている。そして、F1が魅力を増すための大改革が必要だと叫ばれ、そのための具体的な案などが検討されている。

かなりのワンマンとして知られていた前FIA会長マックス・モズレーの後任として2009年から現職に就いたトッドだが、モズレーに比べるとあまり存在感がないとの指摘を受けることも多い。

■F1の価値は損なわれていない

そのトッドが、フランスの『Nice Matin(ニース・マタン)』に対し、現在のF1が完全だとは言えないとは認めつつ、次のように語った。

「私の仕事はもっと広い目で状況を見ることなんだ」

「もちろん、いつでも手直しすべきところがあるのは確かだ。だが、F1は現在でも世界最高峰モータースポーツだよ」

「残念なことに、F1で働く人たちが常に前向きなメッセージを発信しているわけではないし、F1にかかるコストだって膨大だ」

■コスト問題で優先すべきはエンジンの価格

だが、かつてフェラーリのチーム代表でもあったトッドは、F1のコスト問題は簡単に議論できるものではないと次のように続けた。

「難しいんだ。交渉が非常に難しいからね」

「大きな問題は、チームに対する収益の分配だ。だが、FIAがそこに介入することはない。最初は全員が提案されたシステムを支持していた。ところが、今ではそれを問題にしている者もいる」

「私は新しいエンジンレギュレーション(現行)を支持しているが、同時に今のエンジンはあまりにも高価過ぎるとも思っている」

「エンジンサプライヤーたちがこのことをきちんと理解することが重要だし、もっと手ごろな価格を提示すべきだと思う」

「そのための解決策を見いだすことができ、それを導入することができるよう期待しているよ」

■テクノロジーの進歩をリードするのがF1の務め

トッドはさらに、現在のF1テクノロジーがあまりにも複雑になり過ぎる一方で、F1カーの運転は以前よりも簡単になったとの議論に対して次のような反論を展開した。

「実際のところ、そんなに簡単な話ではないと思っている」

「我々は常に、レースと市販車との関連性を重視することが必要だと主張してきた。搭載されたコンピューターを使って走っているときに、いまさらマニュアルギアボックスに戻すことなどできないよ」

「F1は新たなテクノロジーを開発していくための実験室なんだ」

「全体として見たとき、F1がいい状態にあると私は信じているよ。まだそれについては議論が足りていないかもしれないがね」

■大幅なルール変更は必要ない

トッドはさらに、F1のテレビ放送が、これまでの無料放送から有料放送へと移行しつつあることが世界的な視聴者数に影響を及ぼしているのではないかとの見方に対し、フランスのテレビ局『Canal Plus(カナル・プリュ)』にそれを「否定するのは不可能だ」と語り、次のように付け加えている。

「こういう種類の問題に関しては対応すべきものがある」

だが、トッドは、メルセデスAMGが圧倒的な強さを誇っているからといって、そのために大幅にルールを変更する必要などはない次のように主張した。

「ローラン・ギャロス(テニスのフレンチオープン)では、過去10大会で9度ラファエル・ナダルが優勝しているよ。だからといってルールを変更する必要があるだろうか?」

「そんなことはなく、彼よりも強くなろうとすることが必要なだけだ。それはF1でも似たようなものさ」

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