2015年F1第3戦中国GP決勝後、ルイス・ハミルトン対ニコ・ロズベルグのチーム内バトルが再燃した。
■不満の萌芽は予選から
噴火の兆候は11日(土)にあった。一年前から左眼の充血に苛まれているロズベルグは、またも予選で2番手に。「眼の問題はいずれ何とかする。外見がよくないだけだ。痛いとか、かゆいとかはない」
それより彼が気になったのは、担当エンジニアだ。アウトラップのスピードをもっと上げろと指示されたのである。「あんな具合にプレッシャーをかけられたら、どうにもならない」。その結果ハミルトンに100分の4秒差を付けられ、ロズベルグは無線で軽くキレる。「おい、いいかげんにしろよ!」
メルセデスAMGの関心は今や、対フェラーリに向いていて、ドライバーを平等に扱う姿勢は二の次だ。「去年は、なるべくニュートラルな関係を心がけた。だが、このところフェラーリが競争力を上げている。チームとしては、これに対応せざるを得ない」とドイツ『Welt am Sonntag(ヴェルト・アム・ゾンターク)』紙に語るのは、チームCEOのトト・ヴォルフだ。
「その結果、レース後にいずれかのドライバーが不満や不平をもらす事態になる可能性はある」
「レースで勝負の分かれ目に直面するときは、何らかの犠牲が避けられない」
■ロズベルグ、決勝で吹き出たイライラ
明けて12日(日)の決勝、ロズベルグはまたしても一敗地にまみれる。前を走るハミルトンにペースをかき乱され、すっかり平静を失ったのだ。
レース中、彼は作戦担当のエンジニアにハミルトンのペースを上げるよう要請する。背後にセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)が迫ってきたためだ。
もちろん、ハミルトンにもロズベルグの事情は伝えられた。
ところがレース後、ハミルトンは次のように報道陣に話す。「彼(ロズベルグ)のペースを制御しろと僕にいわれてもね。自分のレースをするので精いっぱいだ」
この発言にカチンときたロズベルグは、ハミルトンに向かって次のようにいい放った。「おもしろいことをいうじゃないか、ルイス。君は自分のことだけ考えて、僕のレースがダメになってもいいのか」
この週末、機嫌の悪さが目立ったロズベルグにひきかえ、ハミルトンはレース後、次のようにテレビ局の取材陣に語る。「僕には分からない。彼は何が気に入らないんだろう」
「僕は、後方のスピードを落とす真似などしていない。他のどのマシンに対してもね。僕は自分のことに集中していた。もしニコが先に行きたければ、そうすればいい。でも彼は何もしなかった」
■チーム首脳の反応
チームを仕切るトト・ヴォルフとニキ・ラウダの反応は予想どおりで、事態の沈静化に努めていた。もっとも、ラウダはいつものラウダらしく、率直にこんなことをいう。「(F1ドライバーは)エゴに凝り固まったバカ野郎ばかりだ」
「友情なんてクソ食らえさ。レースなのだから、とことん戦えばいい」
「一週間後には次のレース(第4戦バーレーンGP)が始まる。下らない話はさっさと終わらせて、17日(金)になったら、またマシンに乗ることだな」