NEXT...F1開催スケジュール

アロンソ事故、消えぬ疑惑の念

2015年03月28日(土)7:19 am

FIA(国際自動車連盟)は、F1バルセロナ冬季合同テストでフェルナンド・アロンソ(マクラーレン・ホンダ)に起きた事故について、調査結果を公表しない方針だ。

約一ヶ月のブランクを経て今週末のF1第2戦マレーシアGPで実戦に復帰したアロンソ。しかし、2月22日にカタルーニャ・サーキットの第3コーナー出口で何が起きたのか、疑問は残る。

26日(木)にセパン・サーキットで行われたFIA公式記者会見でアロンソは、ごていねいにもマクラーレンが出した事故の公式見解に矛盾する発言を行い、話をさらにややこしくした。

チームは、事故当時MP4-30に何ら問題はなかったと結論付けた。これに対してアロンソは、壁に当たる直前ステアリングが「ロックした」と主張したのだ。

またアロンソは、車内で気を失ったとする見解も否定。衝撃の前後とも意識はあったと述べた。ただし、病院に空輸される直前、医師の投薬で眠りに落ちたことは認めている。

■いったい、あの時何が?

この謎に満ちた事故について当時の状況を調べたFIAだが、イギリス『Telegraph(テレグラフ)』紙によると「結論は表に出さない」という。

26日(木)、事故後に初めて報道陣と相対したアロンソ。ところが憶測は止むどころか勢いを増すばかりだ。もっか周囲の関心はアロンソとマクラーレンの関係に集中している。

アロンソは、「明らかに」マシンがトラブルを起こしたといい張っている。ところがテレメトリーでは証明されていない。これにもアロンソは反論する。データ収集で「クルマのその部分(ステアリング周り)は重要視されていない」のだ。

彼はF1公式サイトに次のように話している。「あの辺(ステアリング)の問題は目に見えない」「そして恐らく絶対に究明されないだろう」

■テレメトリーを見たバトンは

僚友ジェンソン・バトンも、アロンソ事故で収集されたテレメトリーを、それこそ「しらみつぶしに」調べたという。彼は同じく26日(木)にマレーシアで、ブラジル『Globo(グローボ)』紙に次のように語った。

「どんな情報でも(テレメトリー以外に)手がかりを得る術はない」「それでいて、テレメトリーには何の問題もないんだ」

「もちろん、僕があのクルマに乗っていたわけじゃない。彼(アロンソ)が事故当時、何を感じ取ったかは分からない」

とはいえバトンは、集められた情報で「奇妙な」箇所がひとつあったと認めている。しかし、それについては「何もいえない」

■事故の謎を探る

ニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)はドイツ『Bild(ビルト)』紙にこう話す。「僕の印象としては、今も何かがすごく変だと感じる」

諸説あるうち一番有力なのは、1)アロンソが運転を誤った、2)マシンの制御を失う直前、身体に何らかの異変が生じた、以上の二点だ。

26日の記者会見を受けてスイス『Blick(ブリック)』紙は、あるジャーナリストのこんなコメントを報じた。「アロンソは平気でウソをつく」

また、ドイツ『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』誌では、別の情報源の話として、タイムアタック中の事故でも何でもなかったため、「異常にプライドが高い」アロンソは、ミスをミスと認められなかったのではと伝えている。

イギリス『Times(タイムズ)』紙は、さらに別の情報源からこんな話を聞き出した。アロンソがいかに反論しようが、彼は「飛んでいた」(意識がなかった)というのだ。

■アロンソとマクラーレンの関係

いずれにしろアロンソとマクラーレンの論点は、バトンが「妙だ」と感じるほどに食い違っている。

『Telegraph(テレグラフ)』紙は見出しで、アロンソが26日(木)の記者会見で述べた内容はマクラーレンに対する「攻撃」だと決めつけている。両者は2007年、劇的に対立した過去を持つ。

『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』のミハエル・シュミット記者は、まるでチームを「告発」するかのようなアロンソのコメントにマクラーレン幹部は一様に「驚いた」としている。

1997年F1世界王者ジャック・ビルヌーブにいわせると、アロンソは今年、マクラーレン以外にチームの選択肢がなかった。

「まったく、賢くないね」「だが、彼(アロンソ)とフェラーリの関係はすでに崩壊していた。残留は不可能だったのだ」

「移籍の必要に迫られたアロンソに残された唯一の選択肢、それがマクラーレンだ」とビルヌーブはブラジル『Globo(グローボ)』紙に語った。

■アロンソの復帰についてドライバー仲間は

事故の憶測は止まないが、ロータスでアロンソの元チームメートだったロマン・グロージャンは、今週末のアロンソが見せる元気な姿に喜んでいる。

「健康そのものに見えるね」とグロージャン。「彼は、すべて問題ないと僕にいっていた。ほんとうに健康でよかった」とグロージャンはフランス『RMC Sport』に話す。

グロージャンや周りのドライバーたちは、アロンソの事故についてどう思っているのだろう。グロージャンはいう。「実は、多少怪しまれているんだ」

「色々うわさされているよね。でもサーキットに戻ってきた彼は元気そうに笑顔を振りまいている。ヤル気も満々だ。よかったよ」

前後の記事
最新ニュースをもっと見る  >
TopNewsの最新ニュースが読めるよ!
facebookフォロー Twitterフォロー RSSでチェック