F1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)が、22日(日)にバルセロナ-カタルーニャ・サーキットで発生したマクラーレン・ホンダのクラッシュに関し、詳細な調査を行うことになったと報じられている。
マクラーレンでは、事故発生から28時間が経過した時点で声明を出し、その事故を引き起こしたのは「予期せぬ突風」によるものであり、「通常のクラッシュ」であったと説明。だが、各メディアは真相は別のところにあるのではないかとさまざまな憶測を展開している。
■事故の外見からすれば長かったアロンソの入院
事故当時アロンソのすぐ後ろを走っていたセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)や、そこで撮影を行っていたカメラマンは、当時アロンソのクルマはそれほどスピードも出ておらず、壁にぶつかりはしたものの、それほど「危険な」クラッシュには見えなかったと証言。
だが、マクラーレン・ホンダMP4-30でクラッシュしたフェルナンド・アロンソは、その後4日(3泊)にわたって入院することとなった。しかも、そのうちの2晩は集中治療室で過ごしていたという。
こうしたことにより、アロンソは壁にぶつかる前に、不具合を起こしたERS(エネルギー回生システム)によって感電したのか、あるいはバッテリーから発生した有毒ガスを吸い込んでいたのではないかというような憶測が駆け巡ることになっている。
さらに、アロンソは事故当時何らかの発作のようなものを起こしていたのではないかとの疑念もささやかれている。だが、現時点においてはそのときの車載カメラの映像や、テレメトリーデータ(無線を通じて送られてくるF1カーの状態などを示すデータ)なども公開されておらず、推測の域を出ていない。
■マクラーレンに詳細なデータの公表を求める声
かつてF1専属医を務めていたゲイリー・ハートスタインは、アロンソの入院期間が長引いたことを見ると、これは単なる脳震とうだったとは考えにくいとツイッターに次のような手厳しいコメントをアップしている。
「ほんのわずかな真実しか提供されていないのだから、我々も疑念を持たずにはいられないし、ばかにされているのではないかとも思える」
かつてマクラーレンでアイルトン・セナのチームメートとして活躍していたことでも知られる元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーは、『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』を通じて、かつて在籍していたチームに次のように提言している。
「すべての疑いを晴らすためにも、マクラーレンはテレメトリーデータを公開すべきだよ」
■ついにFIAも腰を上げる
こうした状況を受け、FIAがついにこの問題について介入することになったようだ。
FIAの広報担当は、『AP通信』に対し「我々はこの件に関して正しく理解し、今後に向けた教訓とするために、詳細な調査を行うことになる」と語った。
ドイツの『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』は、FIAはマクラーレンに対してテレメトリーデータの提出を求めたと報じている。その一方、イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は、「これは公式な調査ではないが、情報の提供が求められた」という表現でこれを報じている。
一方、イタリアの『Autosprint(オートスプリント)』が報じたところによれば、ホンダのMGU-K(ERSのうち、運動エネルギーを回生するシステム)が度重なる問題を抱えたことを受け、現在ではマクラーレンがそれに介入しており、今週の最終テストではホンダとマクラーレンが協力して改良に当たったシステムでの走行が行われることになるといいう。