1日(日)から始まったF1公式シーズン前テストで、スタートにつまずいた形となっているマクラーレン・ホンダだが、現時点ではそれに動じる気配を見せてはいない。
今季の開幕戦オーストラリアGP(3月15日)までに合計12日間のテストが予定されていたが、マクラーレンではスペインのヘレスで行われたテストの初日にはフェルナンド・アロンソが6周、そして2日目にもジェンソン・バトンが6周しかできておらず、ホンダのV6パワーユニットを搭載したMP4-30の今後が不安視される状況となっている。
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は、あるF1関係者がそんなマクラーレン・ホンダをからかうように「少なくとも、彼らには一貫性があるよ」とコメントしたと報じている。
■トラブルは想定内だとマクラーレン
だが、マクラーレンでは、今回発生した問題は「サイズ・ゼロ」と呼ばれる、小さなホンダ製V6パワーユニットを収めた非常に薄いパッケージングに起因するものであることを喜んでいると主張している。
2日目のテストを担当したバトンは、テスト終了後に「僕たちがすぐにコース上でガンガン走れるなんて全然考えてもいなかったよ」と語った。
さらに、マクラーレンの最高権威であるロン・デニスも、マクラーレンの2015年型車ばかりでなく、パートナーのホンダが設計したターボエンジンに関する前向きな姿勢を崩していない。
いくつかの報道によれば、カウルに隠されたホンダ製パワーユニットの構造は、ライバルであるフェラーリやルノーよりもメルセデスエンジンのものに近いものとされているという。
デニスは、スペインの『Diario Sport(ディアリオ・スポルト)』に次のように語った。
「この(ヘレスに持ち込んだ)エンジンは、実際にレースで使うものより2段階か3段階手前のものなんだ。だから、最後のテストまで開発を続けていくことになる」
「チームの全員のためのキーワードは忍耐だ。我々はほとんど全員が予想していたであろう焦燥感に耐えなければならないだけなんだ」
■MP4-30には、これまでにはなかった技術も投入
デニスはさらに、MP4-30の設計に関して次のように主張した。
「その精密さや緻密(ちみつ)さのレベルは、これまでマクラーレンが造ってきたものすべてを超越しているよ」
「付け加えて言えば、ERS関連や我々が使っているテクノロジーに関してかなりの取り組みを行ってきた。そのうちのいくつかは、これまでには存在すらしていなかったものだ」
「オーストラリア(開幕戦)でさえ、まだ自分たちの本当の位置が分かるとは思っていないよ。それには2レースか3レースは待たなくてはならないだろうね」
■ホンダエンジンを疑問視するメディアも
だが、周囲の見方は少し違うようだ。スペインの『Marca(マルカ)』の記者であるマルコ・カンセコは、新しいホンダエンジンが発生する音は「強くて荒々しいもので、これまでF1で聞きなれてきた音とはかなりかけ離れている」とし、次のように付け加えている。
「それがそのパワーユニットの特性に過ぎないのか、あるいは機能不良の結果としてのものなのかは、時間とともに明らかになるだろう」