フォース・インディアが、現在のF1公式タイヤサプライヤーであるピレリが供給するタイヤの使用方法に関してかなり過激な提案を行った。
ブリヂストンの後を受け、2011年からF1公式タイヤサプライヤーに復帰したピレリだが、急激に摩耗が進むコンパウンドによりレース展開を面白くしようと試みられたタイヤは、しばしば大きな批判の的となってきていた。
だが、今季のピレリタイヤは、昨年大きな批判を受けたことや、今季からよりトルクの大きなV6エンジンが導入されることもあってかなり保守的なタイヤを導入してきている。
例えば、前回のF1ロシアGP(第16戦)は、タイヤがレース展開に劇的な変化を及ぼすことはなかった。
ソチ・アウトドローモを設計したヘルマン・ティルケは、それは自分の責任ではないとドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語った。
「ピレリは非常に保守的なタイヤを持ち込んでいた。彼らがまた大胆なタイヤ選択を行えば、様相はまた違ってくるだろう」
事実、ピレリは初期段階においては非常に挑戦的過ぎるタイヤであるとして批判を受けていたが、今ではあまりにも保守的過ぎるとの批判を受けるようになっている。
ウィリアムズのフェリペ・マッサは、母国レースとなる来月のブラジルGP(11月9日決勝)でもともと使用されるはずだったタイヤ選択(ハードとミディアム)に関して強く批判し、気温が低かったり、路面が湿ったりした状況となった場合には「危険」でさえあると声を上げていた。
このマッサのコメントが公になった後、ピレリはそれまでの方針を転換し、ブラジルGPの舞台となるインテルラゴス・サーキットではミディアムとソフトの組み合わせを使用することに変更している。
これに関し、ピレリのF1責任者であるポール・ヘンベリーは次のように語った。
「再舗装された路面の影響に関してさらなる技術的分析とリスク分析を行ったところ、路面温度が非常に高くなることによってコンパウンドがオーバーヒートする可能性がわずかにあることが分かった。我々は11チームすべての合意のもとで、この変更を行うこととした」
だが、フォース・インディアの最高執行責任者兼スポーティングディレクターであるオットマー・サフナウアーは、もし各F1チームが独自にタイヤ選択をすることができるようにすれば、こうした騒ぎにはならないだろうとの見解を示している。
サフナウナーは、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に対し、次のように語った。
「なぜチームが自分たちで好きな2つのタイヤを選択することができないんだい?」
サフナウナーは、これを許容するルール変更が行われれば、追い抜きももっと多く見られるようになるはずだと次のように続けた。
「あるクルマは速く走ることができ、別のクルマは長く走ることができるようになる。それによってレースももっと面白くなるはずだ」
だが、ピレリではサフナウナーのアイデアを取り入れられる可能性は小さいと主張している。
「まず、輸送面から見れば、それは悪夢でしかないだろう」
そう語ったヘンベリーは、次のように続けた。
「そして、誤った選択を行うチームが出るという危険もある」
「そして、もし(誤った選択により)タイヤに安全性の問題が生じれば、チームではなく、我々がそれに対する責めを負うことになるんだ」