メルセデスAMGの要人たちは、21日(水)にF1モナコGP(25日決勝)が開催されるモナコの港で「ちょっとしたパーティー」を開いていたようだ。
元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーが所有するクルーザーで行われたそのパーティーには、メルセデスAMGの非常勤会長であるニキ・ラウダ、その同僚である技術部門責任者のパディ・ロウとビジネス担当責任者のトト・ヴォルフ、そしてドライバーのルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグらが顔を集めていた。
2014年シーズンは、メルセデスAMGが圧倒的な強さでここまでのレースを支配してきている。
ラウダは、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に対し、このパーティーの費用は自分持ちだったと語り、次のように付け加えた。
「これは、ここまでチームが示してきた素晴らしいパフォーマンスに対するお礼の気持ちだよ」
だが、このパーティーの本当の目的は別にあったのだと考えられている。それは、ラウダが、ハミルトンとロズベルグに関して、2人がこれからもレースでホイール・トゥ・ホイールの激しい戦いを続けてもいいということを全員で意思統一するために時間を取ったのだと言われている。
これまで、ラウダは「チームオーダー」には反対の立場であり、ヴォルフやロウは、場合によってはチームオーダーを出す必要が生じてくる場合もでてくるかもしれないという考えを持っていると伝えられていた。
だが、もしこのままハミルトンとロズベルグに自由にレースをさせれば、それはかつてのアイルトン・セナ対アラン・プロストのように、それぞれがお互いにぶつかり合ってしまうリスクを高めることにもなる。
ラウダもその方針が「いつかは間違った結果を生む」可能性があることもよく分かっているようだ。
「もし2人がほかのドライバーたちを大きくリードしてレースをすることが続けば、多分クラッシュする可能性も高くなるだろう」、とラウダも認めている。
メルセデスAMGでは、これまでのばく大な投資の実を結ばせるために圧倒的な優位を維持してゆくことがまず優先課題だ。だが同時に、退屈したファンがF1に背中を向けてしまうことがないよう、ワクワクハラハラするような見せ場も作っていかなくてはならない。まさに、メルセデスAMGにとっては、今後この両方のバランスを取りながら綱渡りをするような状況が続くかもしれない。