キミ・ライコネンとのあつれきでロータスのF1第17戦アブダビGPは緊張続きだったが、チームの命運を決める契約締結が間近に迫っているようだ。
ライコネンは給料未払いを理由にいよいよレース出場ボイコットも辞さない構えだが、クァンタムと名乗る投資家グループもようやく資金投入に踏み切るところまできた模様だ。
「われわれは、なるべく紳士的に接するよう努めてきた」とアブダビでフィンランド『Turun Sanomat(トゥルン・サノマット)』に語るのはライコネンのマネジャー、スティーブ・ロバートソンだ。
「もはや話し合いを行うタイミングではない。何らかの行動が必要だ」とロバートソンはいう。
3日(日)の決勝に至っても事態は好転の気配さえなく、ライコネンにとって2006年以来というオープニングラップのアクシデントがこれに追い打ちをかけた。
アクシデントについては、ライコネンの故意だったとする見方さえある。
「われわれに(ドライバーがわざと事故を起こす)心配はないよ」と冗談をいうのはレッドブルのアドバイザー、ヘルムート・マルコだ。「ドライバーにちゃんと給料を払っているからね」
事故後、ライコネンはレース終了を待たずに、ただちにサーキットを離れた。
ロバートソンはドイツ『Der Spiegel(デア・シュピーゲル)』に次のように話す。「キミにはオースティン(F1アメリカGP開催地)で走ってほしいと思う。しかし、事態の正常化が先だ」
これについてクァンタムを率いるマンスール・イジャスは、2日(土)にロバートソンと会談を行って緊張状態を打開したと報道陣に語った。
「スティーブに謝罪したよ。同時に、組織としてもキミに詫びを入れた」というイジャス。
ロータスのチーム代表エリック・ブーリエは、ライコネンのタダ働き問題について「話をつけた」と語るのみだ。
それが本当ならニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)にとっても朗報だ。ヒュルケンベルグはもともと、フェラーリ行きのライコネンに取って代わる第1候補だ。
一方でブーリエは、パストール・マルドナード(ウィリアムズ)との「契約が準備できている」ことも明らかにした。クァンタムとの契約がダメになったときの担保といえるかもしれない。
イジャスは、クァンタムもロータスもヒュルケンベルグが候補の筆頭だと話す。
「ニコもチームに入りたくてウズウズしている。すべてが決まるまで、あともう少しだ」
「われわれが(チームの)負債を無くす。それと、非常に高名なスポンサーを呼び込む。もう少し待っていてほしい」
「今週の彼ら(ロータス)は大精算大会だ。支払いに次ぐ支払いが待っているとだけいっておこう。チームには、必要な精算はできるだけ早く済ませてほしいとお願いしてある」
ブーリエは、すべてが明らかになるのは5日(火)になると考えている。「そう願っている」といって、ブーリエは微笑んだ。