財政難に陥っていることを認めたザウバーの将来に関するさまざまなうわさが、F1ドイツGPの開催地であるニュルブルクリンクで駆け巡っている。
給料が支払われていないことを報道されながらも、ドライバーのニコ・ヒュルケンベルクは、チーム代表のモニシャ・カルテンボーンが「解決へと向けてまい進中」であるとチームを擁護しつつ、こう続けた。
「問題解決のために精いっぱいやっていると彼女(モニシャ)は僕に断言してくれた。これ以上言えることはないけどね」
実際ドイツGP初日の5日(金)、ニュルブルクリンクにカルテンボーンの姿はなく、『Speed Week(スピードウィーク)』によると、ヒンウィルにおいてスイス政府の関係者と会合を開いていたとのことだ。
スイスのスポーツ相ウェリ・マウラーは「ザウバーはスイスで最も重要なハイテク企業である」と発言しているが、『Speed Week(スピードウィーク)』は、スイス政府が資金繰りに奔走するザウバーを援助するつもりはないようだと報道している。
ザウバーを巡るうわさは絶えず、ニコラ・トッドの存在もそのうちの一つだ。
『Speed Week(スピードウィーク)』は、ザウバーの創始者であるペーター・ザウバーと、ニコラの父で現在FIA(国際自動車連盟)会長の座にあるジャン・トッドの親密な関係を指摘した。
フェリペ・マッサ(フェラーリ)、パストール・マルドナード(ウィリアムズ)、ジュール・ビアンキ(マルシャ)らのマネジャーを務めるとともに、GP2に参戦中のARTチームを運営するニコラ・トッドは、F1チームの買収を目論(もくろ)んでいるとしばしば報道されている。
ザウバーは目下ロシアの天然ガス企業「ガスプロム」とスポンサー契約締結に向け交渉中であると伝えられているが、『Speed Week(スピードウィーク)』によると、この件にトッドにまつわるうわさが関係しているのかは「はっきりしない」とのことだ。
一方ザウバーとの関係性が深い『Blick(ブリック)』は、現在ザウバーとスポンサー関係を結んでいるフットボールクラブ「チェルシー」のオーナーであるロマン・アブラモビッチが関心を寄せていると報道した。
また『Blick(ブリック)』のロジャー・ブノワ記者は、シルバーストンで開催予定の若手ドライバーテストへの参加契約を佐藤公哉と結んだことで、ザウバーは多少の収入を確保したと伝えている。
なおブノワによれば、現在Auto GPでランキング首位に立つ佐藤公哉のスポンサーは、1日のテスト走行に25万ユーロ(約3,240万円)を支払ったという。