タイヤのバースト(破裂)事故に見舞われたF1第8戦イギリスGPに続いて、今週末ニュルブルクリンクで開催されるドイツGP(7月7日決勝)は、平穏なものになると期待できそうだ。
F1公式タイヤサプライヤーであるピレリは、シルバーストンで破裂事故を起こしたスチール製ベルトが組み込まれたタイヤに換えて、ドイツGPではケブラー繊維製のものを供給すると発表した。
ピレリはさらに、各チームの左右のタイヤを入れ替えるという習慣や、推奨値以外の空気圧やキャンバー設定をしたことが、その問題を引き起こしたのだとしている。
また、ドイツの『Bild(ビルト)』紙は、黒いタイヤの跡がついたとがった縁石の写真を掲載し、それが先週末に起こったリアタイヤの損傷を引き起こす原因となった可能性を指摘している。
しかし、シルバーストン・サーキットを所有するブリティッシュ・レーシング・ドライバーズ・クラブの会長であり、同サーキットの最高責任者であるデレク・ワーウィックは、同サーキットがあの大混乱の責任を問われるべきだとの意見に対し、「まったくばかげている」と強く反論している。
ワーウィックは『Sky(スカイ)』に対して次のように述べた。
「これらの縁石は2009年からあるし、その上をすでに何千台ものクルマが走り抜けている。そして、これまで何の問題もなかった」
だが、2011年シーズン限りでF1を引退したベテランドライバーのルーベンス・バリチェロは、シルバーストンの独特な特性がそのタイヤ事故に関与しているかもしれないと、ブラジルの『Totalrace(トータルレース)』に次のように語った。
「シルバーストンでの懸念は、高速コーナーとタイヤの温度(による影響)だ」
「ふたたびそれがニュルブルクリンクで起こるはずはない」とバリチェロは付け加えた。
フェラーリの控えドライバーであるペドロ・デ・ラ・ロサもこれに同意見のようだ。デ・ラ・ロサは『Speedweek(スピードウィーク)』に次のように語っている。
「タイヤがドイツでも大きな役割を果たすことになるのは間違いない」
「だが、普通に考えれば、ニュルブルクリンクでのタイヤへの圧力は、シルバーストンのときよりは少ない」
「そのことだけをとっても、僕はイギリスでの事件がまた繰り返されることは想像できないね」
チームやドライバーの中には今週末予定されているドイツGPをボイコットすることもありえると認めるものもあった。
しかし、ニュルブルクリンクの主催者たちは、そのことに対して心配はしていないようだ。
同サーキットの広報担当者は、安全は「もちろん重要」であるとしながらも、ニュルブルクリンクにはタイヤの問題は何の関係もないとし、ドイツの『Sport1(シュポルト1)』に対して次のように語った。
「その問題を解決する責任は、FIA(F1を統括する国際自動車連盟)とF1自身にある」
「週末に向けたわれわれの準備は中断することなく、本格的に進められている。そして、(決勝の)日曜日には全員が予定通りスタートラインにつくと考えている」