レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは、F1第2戦マレーシアGPで起きたチームオーダーをめぐる騒ぎがきっかけで、レッドブルがF1から撤退するのではないかという報道を笑って問題にしなかった。
3年連続でチーム別とドライバーの両タイトルを獲得しているレッドブルだが、マレーシアGPでは、レース終盤にチームが無線で順位を指定する暗号「マルチ21」を伝えたにもかかわらず、セバスチャン・ベッテルがチームメートのマーク・ウェバーを抜いて優勝し、批判を浴びた。ウェバーは激怒し、F1を去るのではないかとうわさされている。
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』によると、エナジードリンクメーカーのレッドブル会長ディートリッヒ・マテシッツは、この件について非常に腹を立てていたという。
マテシッツはチームに対し、チームオーダーをめぐるごたごたを繰り返した場合は、F1からの撤退もあり得ると伝えたと報じられている。
これについて、マテシッツの右腕であるマルコは、「ばかばかしい。そんなことはない」と『Bild(ビルト)』紙に話している。
しかし、「マルチ21」の影響は、いまだにレッドブルにとって頭痛のタネとなっている。
ライバルであるフェラーリのフェルナンド・アロンソが、ウェバーと一緒にドバイでディナーを楽しんでいる写真をツイッターに投稿し、再びうわさが広がった。
この件についてマルコはこう語った。「F1にも友人が少なくとも2人いるというのは、いいことだ」
フェラーリのテストドライバーを務めるペドロ・デ・ラ・ロサは、何でもないことが大きく取り上げられているだけだと見ており、ウェバーがすぐにレッドブルを去るのではないかといううわさについても、『Marca(マルカ)』紙にこう話した。
「それはないよ。あんなに素晴らしいクルマを与えてくれるチームをどうして離れたりするんだい?」
第3戦中国GPの予選では、ウェバーが燃料不足のためにコース途中でマシンを止めざるを得なくなり、予選結果はく奪というペナルティーを受けた。また決勝では、タイヤが脱落してリタイアしている。これは、レッドブルのウェバーに対する妨害工作だという陰謀説まで出ているが、デ・ラ・ロサは取り合わなかった。
「妨害工作なんてないよ」とデ・ラ・ロサは語っている。「チームメート(ベッテル)がチームオーダーに従わなかった。そして謝罪した」
「燃料はミスだ。同じことは以前にもあった」
「彼(ウェバー)の代わりになりたいくらいだよ。論争することなんてないと思う」
「彼がレースに勝てないような立場になったら問題だけどね」とデ・ラ・ロサは話している。