F1第2戦マレーシアGPで起きた「マルチ21」騒動は、F1にとって「とてもいいこと」だと元F1ドライバーのアレックス・ブルツが語った。
マレーシアGP終盤に、順位を指示する「マルチ21」という暗号がチームから出ていたにもかかわらず、セバスチャン・ベッテル(レッドブル)がそれを無視し、チームメートのマーク・ウェバーを抜いて優勝した。次の第3戦中国GP(4月14日決勝)まで3週間と比較的間隔があく中、この問題は主要な話題としてメディアをにぎわしてきた。
ベッテルは、チャンピオンを3年連続で獲得しているが、今回チームの体面をつぶしたことでその評判を落としたと見る者もいれば、チームの指示を押しつけて結果を操作することは、フェアプレーに反するという意見もある。
この「マルチ21」問題についてどう思うかと聞かれたブルツは、『Spox』にこう語った。「僕は、このスポーツにとってとてもいいことだと見ているよ」
「こういう話題で興味が持たれて、視聴率が上がる」
「要するに、ビジネスには良いということだ。あるチームの行動がスポーツの信義において正しいのかどうかは議論されるかもしれないけれどね」
ベッテルの行為に関しては、正当化できないのではないかというのがブルツの考えだ。
「きっかけは、28周目にある。セバスチャンが無線で“マークをどかしてくれ。遅すぎる”と言ったときだ」
「あの時点で、ウェバーはタイヤをうまく制御していて、リードを5秒に広げていた。セバスチャンは反撃することができなかった」
「振り返れば、今なら僕たちは“マルチ21”の意味を知っている。このチームオーダーをレッドブルが出していなかったら、間違いなく、99.9%の確率で、ウェバーが優勝していただろう」
「あの日は、彼のほうがタイヤをうまく使えていた。でも彼は、チームの指示を受け入れてエンジンの回転数を落としたんだ」
「セバスチャンはそうしなかった。そして、追い抜く誘惑を拒むことができなかったんだ」とブルツは語っている。