ベテラン日本人記者の柴田久仁夫氏が、小林可夢偉のF1復帰について述べたコメントが海外メディアでも報じられている。
1980年のF1チャンピオンであるアラン・ジョーンズに過去最高の日本人F1ドライバーと言わしめた可夢偉。しかし、昨シーズン限りで3年間在籍していたザウバーのシートを失ってしまった。
雑誌『GPX』への寄稿などで知られる柴田氏が、その可夢偉について次のように語ったコメントが海外のメディアを通じて日本にも届いた。
「可夢偉の姿は目にされなくなったし、新聞にも出てきていません」
「可夢偉のマネジメントは12月の時点でも、2月にはどこかのチームでテストをしているはずだと固く信じていました。しかし、ご存じのように何も実現しませんでした。可夢偉がいないままで、ヘレスでのテストは行われました」
人気があり、ファンをワクワクさせるドライバーである可夢偉だが、今後レースの世界で生き残ることはできるのだろうか? 柴田氏は次のようにコメントしている。
「それについてはまったく分かりません。可夢偉はF1でやり続けたいと望んで、フォース・インディアと交渉していたようです」
「ただ、もしそれがうまくいっていれば、可夢偉はここ(ヘレス)でクルマに乗っていたはずです」
「そのことで、私も心配になっています」
「ファンは、可夢偉がいったんF1の世界から出てしまうと、もう2度と戻ってこられないのではないかという恐れを抱いています。私もそれを心配しているのです」
「F1の歴史は、これまで何度も、いかに復帰するのが難しいことかということを示してきています」
かつてないほどに、実力よりも資金力でシートを獲得する「ペイドライバー」たちが目立っている近年のF1。その結果として可夢偉や、ヘイキ・コバライネン(元ケーターハム)、ティモ・グロック(元マルシャ)のような評価の高いドライバーたちがシートを失ってしまうという現状に対し、多くのF1関係者たちが嘆いている。
元F1ドライバーであり、今年マルシャからケーターハムに移籍したシャルル・ピックのマネジャーを務めるオリビエ・パニスは、ロシアのウェブサイト『f1news.ru』へ次のように語った。
「今年と昨年を比較してみると、つい最近表彰台に上った者も含め、7人か8人のドライバーがいなくなっている」
「F1は難しいスポーツだし、すべてがドライバー次第だというわけじゃないんだ」
「悲しいことだが、それが現実なんだよ」