ドイツの銀行「バイエルンLB」がF1最高責任者であるバーニー・エクレストンに対し、4億ドル(約321億円)の返還を求めていると報道されたが、エクレストン本人が報道内容を認めた。
バイエルンLBは数年前、現在のF1筆頭株主であるCVC(キャピタル・パートナーズ)に対してF1株式を譲渡した。その際、エクレストンから巨額の賄賂(わいろ)を受け取ったという銀行家ゲルハルト・グリブコウスキーがF1株式を不当に過小評価したために多額の損失が出たとして、バイエルンLBはエクレストンにその返還を要求している。グリブコウスキーは、収賄で有罪判決を受けている。
「私は何も反応しなかった」とエクレストンがインドで述べたことを『Financial Times(フィナンシャル・タイムズ)』が伝えている。
『Reuters(ロイター通信)』によると、エクレストンはこの要求に関して裁判に訴える用意があると語ったという。「間違いなくそうするよ」とエクレストンは明かした。
『Telegraph(テレグラフ)』は、グリブコウスキー事件に対して「いらだっている。だが、心配することは何もない」とエクレストンが語ったと伝えている。
しかし、F1パドックの不安は消えていない。著名な関係者らも、エクレストンが現在の地位を失わずにこの贈収賄事件を乗り切るのは、よほど幸運でなければ無理だと捉えている。
『Times(タイムズ)』は、経営者のヘッドハントを行うエゴンゼンダーインターナショナルに対してエクレストンの後継者候補をリストアップするよう、CVCが依頼したと報じている。
『DPA通信』は、エクレストンの後継候補のひとりはザウバーのチーム代表であるモニシャ・カルテンボーンだと伝えた。
「現在の仕事に大変満足しており、それに関する大きな目標を今も持っているのが実際のところです」
「従って、そういった方向に進む予定はありません」とカルテンボーンは話している。
またエクレストン本人にも、辞めるつもりはないようだ。
「疑いをかけられて3年になる」とエクレストンはインドGP(10月28日決勝)前に語った。「だが、私がF1を運営するのを止めるものは何もない」
しかし、エクレストンがドイツ当局に起訴され有罪判決を受けた場合のリスクをどう考えているのだろうか。
「そうならないことを願っている。ドイツの刑務所に文句は言わないつもりだよ。ただ、どこの刑務所にも入らずにすませたいというのが正直なところだ」とエクレストンは答えた。
『Suddeutsche Zeitung(ズードイチュ・ツァイトゥング)』紙は26日(金)、エクレストンが、ミュンヘンへ出向いてドイツ検察に対して証言する意向を弁護士を通して示したと伝えている。