最近、メルセデスとアストンマーティンに関する新たな噂が浮上したが、F1関係者の間ではこれは信じるに値しないという意見でほぼ一致しているようだ。
■メルセデスのエンジン部門が今後はアストンマーティンを優遇?
今週、あるメディアが、トト・ヴォルフがチームCEO兼代表として率いているメルセデスのワークスF1チームが、イギリスのブリックスワースを拠点とするメルセデスAMGハイパフォーマンス・パワートレインズの全面的な支援を失うリスクがあると報じた。
メルセデスのファクトリーはイギリス国内に2か所あり、簡単に言えば、ブラックリーのファクトリーがシャシー部門、そしてブリックワースのファクトリーであるAMGハイパフォーマンス・パワートレインズはエンジン部門となっている。
その記事によると、メルセデスのエンジン部門であるメルセデスAMGハイパフォーマンス・パワートレインズが今後は現ブラックリーに拠点を置くメルセデスではなく、今季非常にパフォーマンスを改善してきたアストンマーティンにワークスエンジンを供給することを計画しているという。
そして、そうなった場合には、現在のメルセデスF1チームはマクラーレンやウィリアムズと同様に、単にエンジンの供給を受ける“顧客”という立場に変わるというのだ。
■この噂は「ナンセンスで非現実的」だとアルファタウリのボス
だが、レッドブルのセカンドチームであるアルファタウリのチーム代表を務めるフランツ・トストは、この噂は「ナンセンス」だと主張し、ドイツの放送局『Sport1(シュポルト1)』に次のように続けた。
「レギュレーションには、エンジンメーカーは全ての顧客に同じ機材を提供しなければならないと明確に規定されている。そして、私の知る限りでは、誰もがこれを細心の注意を払って忠実に実行しているよ」
「すなわち、あるチームをほかのチームより優遇することは禁止されているし、非現実的だね」
■メルセデスがライバル自動車会社を助けるはずがないとレッドブル首脳
レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)も、この噂は意味をなさないと言う。
「なぜメルセデスがライバルをもっと強くする必要があるんだい?」
「結局のところ、アストンマーティンは乗用車部門においてメルセデスのライバルなんだ」
そう語った79歳のオーストリア人は次のように付け加えた。
「メルセデスは失望に終わった開幕戦を忘れるために全力を尽くすだろうし、この野心的な任務においてアストンマーティンを助ける余地などないのは明らかだよ」
■F1でメルセデスとアストンの利害が一致するはずはないとベルガー
元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーは、メルセデスとアストンマーティンがすでにF1以外のところでは協力関係を構築していることを認めているが、F1に関してはこの2つの自動車メーカーの利害は一致するはずはないと考えている。
「ファンにとって、メルセデスはフェラーリ、アストンマーティン、ルノー、そしてそれ以外の全てのライバルと戦っている。彼らはイメージ的に倒さなければならない相手なんだ」
「だから、そんな風に敵を助けることなどないのは確かだよ」
そう語った63歳のベルガーは、実際のところ、まだ開幕戦1レースが終わっただけであり、今後シーズンを通じてアストンマーティンの方がメルセデスよりも強いのかどうかはまだわからないと次のように付け加えている。
「アストンマーティンが一貫してメルセデスより強いのか、それともバーレーンだけがそうだったのか、今後数週間のうちにそれが示されるだろうね」。