7度F1チャンピオンとなった実績を持つ38歳のルイス・ハミルトン(メルセデス)だが、いよいよF1を去る日が近づいてきているのかもしれない。
■メルセデスとの契約が今年で切れるハミルトン
ハミルトンが現在メルセデスと結んでいる契約は2023年シーズンまでとなっている。
メルセデスF1チーム代表のトト・ヴォルフは最近、ハミルトンとの2024年以降に向けた契約交渉がもうすぐ始まると語っている。
だが、実際のところ、メルセデスとハミルトンはどちらも、不本意な結果で終わった2022年シーズン終了後すぐに契約を更新する意向であることを明らかにしており、シーズンオフの間に交渉が行われることになるだろうと示唆していた。
■2023年型メルセデスの競争力次第だとジェンソン・バトン
2009年のF1チャンピオンであり、かつてマクラーレンで2010年から3年間ハミルトンのチームメートとして戦った経験を持つジェンソン・バトンは、メルセデスとハミルトンの交渉開始が遅れているのは、ハミルトンが2023年のメルセデスF1マシンの競争力を確かめるまで待つつもりだからではないかと疑っている。
「間違いないよ。そうだろう?」
母国イギリスの『Telegraph(テレグラフ)』にそう語ったバトンは、次のように続けた。
「そうでなければ、なぜこれほどまでに遅らせるんだい?」
「我々みんなに尋ねられることがどれだけうっとうしいことなのか、それは彼だってわかっているんだからね」
■真剣に引退を考えているはずだとデイモン・ヒル
1996年のF1チャンピオンであるイギリス出身のデイモン・ヒルも、ハミルトンがいつヘルメットを脱ぐかという問題について「非常に真剣に」考えているのではないかと語っている。
1962年と1968年のF1チャンピオンであるグラハム・ヒルの息子であり、F1史上初となる親子2代でチャンピオンとなる記録を作ったことで知られる62歳のヒルは次のように付け加えている。
「我々が知る限り、彼は2024年の契約は結んでいないよ」
■パフォーマンスに不安を抱える2023年型メルセデスF1マシン
昨年は若いチームメートのジョージ・ラッセルの後塵を拝したばかりか、自身のF1キャリアにおいてワーストとなるランキング6位に終わったハミルトンにとって、2023年は自分の強さを改めて示す必要がある重要なシーズンになる。
だが、先週バーレーンで行われた公式プレシーズンテストを見る限り、今年のメルセデスも最大のライバルであるレッドブルに後れをとってしまっているようだ。F1関係者の中にはフェラーリにも、そして、ひょっとするとアストンマーチンにも先行を許す可能性があると考えている者もいるようだ。
■問題はハミルトンのモチベーションだとラルフ・シューマッハ
ドイツ出身の元F1ドライバーであるラルフ・シューマッハは、ヴォルフがハミルトンと新たな契約を結びたいと考えているとしても、2023年型メルセデスF1マシンのパフォーマンスがその大きな障害となる可能性があると考えている。
「彼らは苦悩を抱えているよ。彼らは目標を達成できていない、あるいは間違った目標を設定している」
「あのマシンはまだ運転が難しいよ」
バーレーンでのプレシーズンテスト後に母国ドイツのテレビ局『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』にそう語ったラルフ・シューマッハは、次のように付け加えた。
「だが、本当の問題は、もしもルイスがまだ後れをとっているとしたら、モチベーションを維持できるかどうかだ」。