フェラーリは、先週バーレーンで3日間にかけて行われたF1公式プレシーズンテストでは、常に多くの燃料を搭載した状態で走り、ライバルたちに本当の実力がわからないようにしていたのかもしれない。
■2023年も最強はレッドブル?
先週のテストでは、今シーズンに3年連続ドライバーズタイトルと、2年連続でのコンストラクターズタイトル獲得を目指すレッドブルがライバルたちを一歩リードしていると受け止めたF1関係者やメディアが多いようだ。
F1ドライバーズタイトル獲得はキミ・ライコネンによる2007年が、そしてコンストラクターズタイトル獲得は2008年が最後となっており、長く無冠状態が続いているフェラーリとしては、今年はなんとしてもレッドブルを倒してタイトルを手にしたいところだ。
だが、バーレーンでのテストを見る限り、今年のマシンにも速さはあるもののロングランでのタイムなどを見れば総合的にはやはりレッドブルには及ばないだろうと現時点では考えられている。
■完璧なセットアップができれば勝てるとルクレール
今年のフェラーリF1マシンには、フロントウイングのウイングレットや謎めいたサイドポッドチャンネルなど、昨年とは異なる斬新な手法もいくつか取り入れられるなど、工夫が施されているのも事実だ。
フェラーリのエンジニアがこうした手法で目指したのは、ストレートでレッドブルに負けないようにすることだったと考えられている。だが、その結果、コーナーでのバランスが悪くなってしまったようだと見ているF1関係者もいるようだ。
しかし、今年はフェラーリドライバーとして5年目のシーズンを迎えるシャルル・ルクレールは、次のように主張している。
「セットアップを完璧な範囲にすることができれば、僕たちは勝てるよ」
■戦略責任者を交替させた新チーム代表
しかし、それは戦略の分野をどれほど改善できるかにもよるだろう。フェラーリがマッティア・ビノットに替えてフレデリック・バスールを新たなチーム代表に据えたひとつの目的はそれだと考えられている。
実際のところ、昨年までスイスに本部を置くザウバーのCEOとしてアルファロメオのチーム代表も務めていたバスールは、フェラーリで2023年シーズンを迎えるにあたって昨年まで戦略責任者であったイニャキ・ルエダをファクトリー業務担当に降格し、その後任としてラヴィン・ジェィンを新たな戦略責任者に起用している。
「我々は組織を少し変えたよ」
そう語ったフランス出身のバスールは次のように続けた。
「だが、ピットウォールで誰がボタンを押すのかということよりも、情報の流れが重要なんだ」
「ザウバーでは、フェラーリよりずっと少ない人数だったし、なおかつコミュニケーションの伝達はより簡単だったよ」
■プレシーズンテストでは常に多くの燃料を搭載していた?
バスールはさらに、バーレーンで行われた先週のプレシーズンテストにおいて、ルクレールとカルロス・サインツが“不満”を感じていたとの報道を否定している。
イタリアの『La Gazzetta dello Sport(ガゼッタ・デロ・スポルト)』は、フェラーリはプレシーズンテストでは常に多くの燃料を搭載した状態で走行していたのではないかと推測している。
もし、その推測が正しければ、今週末に行われる開幕戦の予選でフェラーリがポールポジションを獲得する可能性もありそうだ。
2023年F1開幕戦バーレーンGPは、3日(金)の現地時間14時30分(日本時間20時30分)に開幕。決勝は現地時間5日(日)18時(日本時間24時)にスタートする。