2人のF1チャンピオンが、2022年に導入された新たなF1技術レギュレーションが期待通りの目標を達成できたとは思えないと認めた。
■チーム間のギャップ縮小が目指されていた新技術ルール
2022年に導入された技術レギュレーションでは、F1マシンのシャシー自体がダウンフォースを発生する“グラウンドエフェクト”効果を持つものに変えられている。そして、それまで非常に複雑になっていたウイング類がシンプルな形状のものとされてマシンが発生する乱気流の影響を抑えることで、これまでよりもバトルやオーバーテイクが増えることになるとともに、チーム間の競争力が拮抗してくるものと期待されていた。
実際のところ、確かにバトルやオーバーテイクは2021年までよりも増えていた。だが、そのほかの部分に関しては、ドライバーたちは必ずしも2022年型F1マシンを高く評価しているわけでもないようだ。
■ルール変更の努力が全て報われたとは言えないとベッテル
レッドブル時代の2010年から2013年まで4年連続F1チャンピオンとなった実績を持つセバスチャン・ベッテルは、2022年型F1マシンについて次のように述べている。
「失敗だったと言いたくはないよ。だけど、多くの努力が払われたのは確かだけれど、全ての努力が報われたわけでもない。そういう風に言っておくことにするよ」
■意図した結果はまだ出ていないとアロンソ
2005年と2006年のF1チャンピオンであり、現在のグリッドで最も経験豊富な最年長F1ドライバーとして活躍する41歳のフェルナンド・アロンソも、2022年型F1マシンについて聞かれると、『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように答えている。
「新しいルールは、僕が復帰した理由のひとつだったんだ」
「そして、そうだね、状況が劇的に変化しなかったことがわかったのは誰にとってもちょっとがっかりだったよ。レースで勝てるのはせいぜい2チームだし、それはここ数年の状況と同じだよ」
「そして、トップにいる2チーム、もしくは3チームと中団との差は依然として大きすぎる。50パーセントのレースで、僕たちは勝者から1周遅れなんだからね」
「つまり、F1がこのルールで意図したような結果はまだ達成されていないということさ」
■トップチームたちはすでに限界に近い
アロンソは、バジェットキャップ(チーム予算上限)ルールが今後のシーズンに大きな影響を与えるかどうかはわからないとしているものの、新しい技術規則全般の本質についてはより大きな期待を抱いているようだ。
「非常に制限されているし、工夫する余地はあまり残されていないからね」
「トップチームたちはかなり限界に近いところにいるし、ほかのチームも追いついていくと思うよ」
■車重増加で低速コーナーでは遅すぎる
また、2022年型F1マシンに関しては、現役F1ドライバーの多くが、2022年のマシンは以前のものとの比較において、運転が楽しくないとコメントしている。
「今年のマシンは低速コーナーですごくもたつくんだ。重すぎて、常に100リットルの燃料を積んでいるように感じるよ」
その理由のひとつをそう説明したアロンソは、次のように付け加えた。
「高速コーナーでは本領を発揮するよ。そして、スピードが上がれば上がるほどグリップも増してくる。以前もある程度はそうだったけれど、吸引効果は今年のマシンの方がすごく大きいね」。