かつてベネトンとルノーでチーム代表を務めていたイタリア出身のフラビオ・ブリアトーレが、統括団体であるFIA(国際自動車連盟)に苦言を呈した。
有名な“クラッシュゲート”スキャンダルによってF1から追放されたという経験も持つブリアトーレだが、F1最高責任者を務めるステファノ・ドメニカリによってF1に呼び戻され、現在はアンバサダーとしてコンサルタント的役割を担っている。
そして、そのブリアトーレが、最近のF1レース運営について統括団体であるFIA(国際自動車連盟)を手厳しく非難している。
■勝利確定まで3時間ほどかかったシンガポールGP
そのきっかけとなったのは、先週末にマリーナ・ベイ・ストリート・サーキットで開催された2022年F1第17戦シンガポールGP決勝において、トップチェッカーを受けたセルジオ・ペレス(レッドブル)の勝利が確定するまで3時間近くかかったことだ。
メキシコ出身のペレスは、シンガポールGP決勝においてセーフティカーとの間隔を開けすぎたとして調査を受け、最終的に5秒のタイムペナルティが科された。だが、フィニッシュした時点で2番手を走行していたシャルル・ルクレールに対して7秒以上の差をつけていたことから、勝利を失うことはなかった。
レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)は、その後ドイツの『Bild(ビルト)』紙に、「決定までこれほど長く待たされたのは不条理だ」と語っている。
そして、72歳のブリアトーレも同意見だ。
■FIAは絶対に変わる必要があるとブリアトーレ
「違反があったのなら、すべての技術的な情報を駆使すれば1分で決められるのに、なぜ何時間も待たなければならないんだ?」
イタリアの『LaPresse(ラプレッセ)』にそう語ったブリアトーレは、同じくイタリアの『Corriere dello Sport(コリエーレ・デロ・スポルト)』にも次のように語っている。
「FIAは絶対に変わらなければならない。彼らには不十分な人材しかいないよ」
「すべてのレースで問題が起きているんだ。レースだけでなく、ショーやF1選手権を台無しにしかねないよ」
「FIAは会社であり、前進するためには適切な人材を活用しなければならない」
「そこにはほぼ200人の従業員がいる。そして、この種の会社はどの部門においても有能なマネジャーによって管理されなくてはならないんだ。今のところ、そのような質の高い人材はいないね」
「FIAはプロフェッショナルに運営されなければならない。それが基本的前提だよ。重要なのは、F1にふさわしい連盟が存在することなんだ」
「なぜ以前にはこういうことが起こらなかったのか? それはプロがいたからだ。単純なことだ」とブリアトーレは付け加えている。
■今のF1には複雑なルールが多すぎるとティモ・グロック
マルコは、現在のF1には「ルールが多すぎる」という言葉を残してシンガポールを後にし、今週末にF1日本GP(9日決勝)が開催される日本へと向かったが、この点に関しては、ドイツ出身元F1ドライバーであるティモ・グロックも同意見のようだ。
「我々は今、なぜこのようなルールが存在するのかを議論することができる」
かつてトヨタやヴァージンで活躍した40歳のグロックは、『Sky Deutschland(スカイ・ドイチュランド)』にそう語ると、次のように付け加えた。
「これほど複雑なルールがあれば、F1は常に賭博台の上で勝利が決まるような状況に陥るだろう」