今年F1参戦7年目を迎えているアメリカンF1チームのハースだが、直近2レースではケビン・マグヌッセンとミック・シューマッハの2人が連続してポイントを獲得するなど、上昇気流に乗りつつある印象がある。
●【2022年F1チャンピオンシップ・ランキング】ハース、マグヌッセン、シューマッハのランキングは?
29歳のデンマーク人ドライバーであるマグヌッセンは、2017年からハースに所属していたものの、2020年シーズン終了後にロマン・グロージャンとともにシートを失っていた。
これは、財政難に苦しんでいたハースが、技術提携契約を結んでいるフェラーリのアカデミードライバーであるシューマッハと、ロシアから巨額のスポンサーマネーを持ち込むニキータ・マゼピンの起用に踏み切ったためだ。
■ハースに勢いをもたらしたマグヌッセン
だが、2022年シーズン開幕直前にハースはロシア・ウクライナ問題によりマゼピンとの契約を解除。そして1年のブランクはあるものの、2020年まで在籍していたマグヌッセンを再び呼び戻していた。
そのマグヌッセンは、2022年のF1開幕戦バーレーンGPでいきなり5位入賞を果たすと、第2戦サウジアラビアGPでも9位、第4戦エミリア・ロマーニャGPでも9位となり、チームに貴重なポイントをもたらしていた。
■マグヌッセン加入はシューマッハにとってラッキーなことだとシュタイナー
シューマッハとマゼピンの2人体制で臨んだ2021年は、その年に使用するマシンの開発をまったく行わなかったという事実はあったものの、チームは年間を通じて1ポイントも獲得することができていなかっただけに、ハースがマグヌッセンの復帰を大歓迎したのは確かだ。
さらに、ハースのチーム代表を務めるギュンター・シュタイナーは、経験豊かな29歳のマグヌッセンが新たなチームメートとなったことは、23歳のシューマッハにとってもいいことだと考えている。
「ミックはケビンのようなチームメートを得られて非常にラッキーだよ。彼は昨年よりもずっといい場所にいる」
『Red Bulletin(レッド・ブリティン)』誌にそう語ったシュタイナーは、笑いながら次のように付け加えた。
「ケビンがここにいることでマイナスなことは何もないよ。ケビンがここにいることを除けばね」
■大きくパフォーマンスを改善してみせたシューマッハ
実際のところ、シューマッハは2022年シーズン序盤にはマグヌッセンのパフォーマンスについていくことができず、そのプレッシャーによって何度も大きなクラッシュをするというミスを犯してしまっていた。
そして、そのことをシュタイナーが批判したことから、シューマッハが2023年シーズンにハースに残留するのは難しいのではないかとのうわさもささやかれるようになっていた。
しかし、ウエットコンディションのもとで行われた今季の第9戦カナダGP予選で初めてQ3に進出して6番グリッドを確保したシューマッハは、決勝こそマシントラブルによるリタイアに終わったものの、続く第10戦イギリスGPでは19番グリッドスタートから見事に8位入賞を達成。しかも、レース終盤は2021年のF1チャンピオンであるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)との間で激しい攻防を披露するなど、見違えるようなパフォーマンスを見せていた。
さらに第11戦オーストリアGPでは、予選7番手、決勝6位という結果を残したことで、メディアがシューマッハのシート喪失のうわさを報じることはまったくと言っていいほどなくなってしまった。
■シューマッハがハースに残留するかどうかは夏休みに決定
だが、シュタイナーはかねてから、ハースでは夏休みに翌年のドライバーラインアップを検討することにしていると主張しており、シューマッハとの契約更新について質問されると次のように答えている。
「2週間待とうじゃないか。そこで決定することになるだろう」
シューマッハが2023年にどうなるかはまだ確定していないものの、マグヌッセンに関してはハースと少なくとも2023年までの契約を結んでいることは確かだと伝えられている。
「そう、ケビンは複数年契約を結んでいるよ」
そう認めたシュタイナーは、次のように付け加えた。
「我々は進歩を続けているし、自分たちに何ができるかを示している。そして論理的には、上位に食い込むためには、可能な限り最高のドライバーをマシンに乗せる必要があるんだ」。