レッドブル首脳のヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)が、現在の世界的インフレの中でバジェットキャップと呼ばれるF1チーム予算上限ルールが大きな足かせとなっていることを認めた。
■今年の予算上限値内でフルシーズンを戦うのは困難
最近、レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーが、全22戦で争われることになっている2022年F1シーズンを最後まで戦うための資金がショートし、数レースに参戦できない状況となるチームがいくつか出てくるのではないかとの懸念を表明している。
そして、このほどマルコもドイツの放送局『Sport1(シュポルト1)』に、「3つのトップチームのうち、現在、予算制限内に収まっているチームはない」と語っている。
新型コロナウイルス感染症であるcovid-19問題や、ロシアのウクライナ侵攻による不安定な世界情勢により、現在は世界的にインフレ傾向となっており、とりわけF1チームはマシンや機材の輸送費が高騰していることに悩まされている。
しかし、F1チームたちは昨年より500万ドル(約6億3000万円)減額された年間1億4000万ドル(約177億円)の予算内で戦うことが求められている。
こうした中、レッドブルを筆頭に、いくつかチームはその補填のために緊急に予算上限額を調整するよう要求していると伝えられている。
■我々は大丈夫だとアルピーヌのチームCEO
だが、ルノーの事実上のワークスF1チームであるアルピーヌは、その中に入っていない。
「covid-19は明らかに我々に影響を与えた。だが、今は違う」
アルピーヌのチームCEOを務めるローラン・ロッシは、スペインの『El Mundo Deportivo(ムンド・デポルティーボ)』にそう語ると次のように付け加えた。
「今のところ、アルピーヌには多少の免疫があるよ」
■コストの増加は計り知れないほどだとマルコ
しかし、数年後のF1タイトル挑戦に焦点を合わせているアルピーヌとは違い、F1で勝つことだけを目的とするレッドブルのようなトップチームにとっては、1億4,000万ドルがすぐに使い果たされるリスクは間違いなくあるとマルコは主張している。
「輸送コストの一部は60パーセントも上がっている。材料費も同じだし、計り知れないほどだ。まさにそれが現実なんだ」
79歳のマルコはそう語ると次のように続けた。
「すでに、一定のインフレ調整についての話し合いも行われているよ」
「最初にパンデミック、そして戦争、これらは予見できなった出来事であり、このようなインフレ率や成長率も正常とは言えないからね」
「正常な状態に戻れば、予算限度内で再び正常に活動することができるようになるだろう」
■フェラーリがレッドブルに疑念
一方、レッドブルのマシン開発コストや、先週末にF1スペインGPが開催されたバルセロナでの燃料温度設定ミスの合法性に関してフェラーリが疑念を表明していることについて質問されたマルコは、スイスの『Blick(ブリック)』紙に次のように答えている。
「ああ、フェラーリは我々に狙いをつけている。だが、問題ないよ」。