ピエール・ガスリー(アルファタウリ)が、トップF1チームであるレッドブル・レーシングで再びチャンスを得たいと望んでいることを改めて表明するとともに、もしそれがかなわなかった場合にはほかのチームへ移籍する可能性もあると示唆した。
■2019年の挫折を糧にアルファタウリを引っ張るガスリー
レッドブルの育成ドライバーとして2017年の第15戦マレーシアGPでセカンドチームのトロロッソ(現アルファタウリ)からF1デビューを飾ったフランス人ドライバーのガスリーは、翌2018年にはトロロッソのフルタイムドライバーとしてフルシーズンを戦った。
そして、2019年にはルノーへ移籍したダニエル・リカルドの後任としてトップチームであるレッドブルに昇格。しかし、チームメートのマックス・フェルスタッペンとのパフォーマンス差が大きかったことから、シーズン後半には再びトロロッソに降格されてしまった。
だが、2020年からアルファタウリとチーム名が変わったチームで本来の速さを取り戻したガスリーは、第8戦イタリアGPでは運も味方につけてF1初優勝を達成。日本人ドライバーの角田裕毅をチームメートに迎えた2021年にはリーダードライバーとしてもチームに貢献してきている。
このほど、スペインの『El Mundo Deportivo(ムンド・デポルティーボ)』紙からアルファタウリには満足しているかと尋ねられたガスリーは次のように答えている。
「サーキットでもっといい結果を出せれば、さらに満足できるだろうね」
「だけど、僕たちはそれに取り組んでいるし、アルファタウリでの挑戦にも満足しているよ」
■サインツのような歩み方を選択する可能性も
しかし、ガスリーが再びレッドブルに昇格することを望んでいるのは明らかだ。そして、2023年にそれが実現しなかった場合、かつてレッドブルの一員であったカルロス・サインツ(現フェラーリ)と同じような道を歩む可能性も否定していない。
ガスリー同様レッドブルとの契約下にあったスペイン出身のサインツは、2021年のF1チャンピオンであるマックス・フェルスタッペンと共に2015年にトロロッソでF1デビューしている。
しかし、フェルスタッペンは2016年シーズン序盤にレッドブルに引き上げられたものの、その時点ではレッドブルにリカルドがいたことから自分には昇格のチャンスは巡ってこないと判断したサインツは2017年シーズン終盤にレッドブルからのレンタル移籍という形でルノーに移籍することを決断。そして2018年は正式にルノーのドライバーとなったという経緯がある。
「カルロスは僕とは違う道を歩んできたと思う」
そう語った26歳のガスリーは次のように続けた。
「多くのドライバーがレッドブルで続けたし、うまくやったよ」
「もちろん、カルロスは離脱してルノーに行き、それからマクラーレンに行き、そして今はフェラーリに行って素晴らしいキャリアを築いている」
「それはどういうチャンスを手にしたかにかかってくると僕は思っているよ」
「僕の場合はどうなるか、そのうちわかるだろうね」
同じくレッドブル出身のダニエル・リカルド(マクラーレン)は、レッドブルからルノー、そしてマクラーレンへと移籍しているが、今のところ望んでいた結果は得られていない。
■自分にとってベストな選択肢を検討していく
ガスリーは、2019年シーズン前半にレッドブルにいたときよりも「ずっといいドライバーになっている」と主張するとともに、自分だけでなくレッドブルも「あの状況から学ぶことができた」のだとしている。
だが、もしアルファタウリとの再契約しか提示されなかった場合、レッドブルと完全に決別することも視野に入れているのかと質問されたガスリーは、「それは場合によるね」と答え、次のように付け加えた。
「交渉は行われているし、何が得られるかを確認し、自分にとってベストな選択肢はどれなのかを決めるつもりさ。もちろん、様子を見ながら全ての条件を評価する必要があるよ」
ガスリーが現在レッドブルと結んでいる契約は2023年までとなっている。仮に2023年にセルジオ・ペレスに替わってレッドブルのシートを確保できれば、当然その後もレッドブルの一員としてF1キャリアを積み上げていくことになるだろう。
だが、仮にレッドブルが2023年もペレスの続投を決めた場合は、ガスリーが2024年以降に向けて新たなチャンスを開拓するためにレッドブルからの離脱を決断する可能性もありそうだ。