2019年からF1タイヤの呼称が変更となるかもしれない。
■今のドライタイヤは種類が多過ぎて複雑
現在、F1公式タイヤサプライヤーであるピレリは7種類のドライタイヤを用意している。固い方のコンパウンドから順に名称と識別カラーを紹介すると、「スーパーハード(オレンジ)」、「ハード(アイスブルー)」、「ミディアム(白)」、「ソフト(黄)」、「スーパーソフト(赤)」、「ウルトラソフト(紫)」、「ハイパーソフト(ピンク)」となる。
このうち一番硬いスーパーハードが実際に使われることはないと考えられているが、それでも6種類のドライタイヤの名称とそれに応じた色を覚えなくてはならないのはちょっと複雑過ぎるのではないかとの意見もあるようだ。
■FIAも呼称変更を要請
ピレリのレース責任者であるマリオ・イゾラはこの件についてはF1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)などからも善処するよう求められていることを明かし、モナコで次のように語った。
「FIAとFOM(F1商業権管理組織)は我々にコンパウンドの名前を3つだけにできないかと求めてきているんだ。ハード、ミディアム、そしてソフトの3つにね。それは可能だし、来年はそうなると思うよ」
「識別色はすべてのレースで同じものを使うことになる。とはいえ、実際のコンパウンドは異なるものになる。モナコやシルバーストン、そして鈴鹿で同じタイヤを使うわけにはいかないからね」
■レースで使う呼称は3つだけに
例えば、今年は前戦スペインGPには「ミディアム(白)」、「ソフト(黄)」、「スーパーソフト(赤)」が持ち込まれていたが、現在開催中のモナコGPには「スーパーソフト(赤)」、「ウルトラソフト(紫)」、「ハイパーソフト(ピンク)」が持ち込まれている。
これが、来年以降は仮に実際に供給されるコンパウンドが今年同様レースごとに異なるものだったとしても、タイヤの呼び名はいずれも「ハード」、「ミディアム」、「ソフト」に統一され、常に同じハード用識別色、ミディアム用識別色、ソフト用識別色が施されることになるわけだ。
ただ、実際のコンパウンドを認識する必要もあるため、現在の案では例えば硬い方からA、B、C、D・・・・・・といった具合に呼ぶことが検討されているようだ。そして、ピレリはこれまで同様それぞれのコンパウンドに応じた詳細な技術仕様をチームやメディア向けにリリースすることになるという。
■ファンのタイヤ理解は簡単に
「恐らく、ファンにとってはその方がタイヤの状況を理解しやすくなるだろうね」
そう語ったイゾラは、次のように付け加えている。
「まだ決定されたわけじゃない。だが、我々としては可能性の分析を進める準備はあると伝えてある。基本的に、それは可能だよ。識別色の塗装はそれほど大きな問題にはならないからね」