F1のモータースポーツ担当マネジングディレクターであるロス・ブラウンが、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)にはまだ2017年のF1ドライバーズタイトルを獲得するチャンスが残されていると語った。
■致命的なリタイアを喫したベッテル
先週末に開催された今季のF1第14戦シンガポールGP決勝ではベッテルがスタート直後にチームメートのキミ・ライコネンやマックス・フェルスタッペン(レッドブル)をリタイアに追い込むクラッシュを起こし、自らもそこでレースを終えてしまった。
レース前にはポイントリーダーであるルイス・ハミルトンとの差はわずか3ポイントだったが、漁夫の利を得て今季7勝目をあげたハミルトンとのギャップは一気に28ポイントに拡大している。
残り6レースとなった時点での28ポイント差というのはかなり大きな差だ。よほどのことがなければ常に優勝が狙えるだけのパフォーマンスを示すハミルトンを相手にこの差を逆転するのは、事実上不可能だろうと考えている者も多い。
そして、シンガポールGP決勝スタート時に起きたクラッシュに関してはベッテルに非があるとの見方も多いようだ。
■シンガポールでのクラッシュはよくあること
だが、かつてミハエル・シューマッハとともにフェラーリの黄金時代を築いた立役者のひとりであり、2009年にはブラウンGPのオーナー兼代表としてF1タイトルを獲得した経験もあるブラウンは、少し違う見方をしているようだ。
「ああいうことは常に起こるものだよ」
ドイツの『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』にそう語った62歳のブラウンは次のように付け加えた。
「あれは典型的な1周目の事故だったんだ」
■ベッテルとフェラーリには再逆転する力がある
ブラウンはさらに、ベッテルが今季のF1チャンピオンとなる可能性はまだ消えたわけではないし、逆転の可能性も十分にあると次のように続けた。
「F1タイトル争いはまだ終わったわけじゃない」
「まだ6レースも残っている。ベッテルとフェラーリは非常に強いし、彼らはまだ自力でタイトルをとることさえ可能さ」
■ベッテルとシューマッハはよく似ている
だが、そう語ったブラウンは、かつて自分が所属していたフェラーリに思い入れがあることも認めている。
「今のセバスチャンとフェラーリを見れば、自分がフェラーリいたころのことを思い出さないわけにはいかないよ」
「セバスチャンとミハエルは、チームへの貢献の仕方や自分をチームの一員だと考えるやり方がすごくよく似ているんだ。そしてフェラーリをトップの座に戻そうと同じように自分を律し、集中していることを私は知っている」
そう述べたブラウンは、次のように付け加えた。
「これからも彼とルイスとの間で激しい戦いが続けられるだろう。だが、もし彼がそれに臨んでいけば、彼は結果を出すことができると思うよ」