2回に分けてスペインのバルセロナで行われた2017年のF1プレシーズンテストも終わり、あとは26日(日)に決勝が行われるF1開幕戦オーストラリアGP本番を迎えることになる。
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バルセロナテストの結果をベースに考えれば、フェラーリとメルセデスAMGがトップ争いを演じ、それにレッドブルがわずかな差でついていくという展開になりそうだと見ている者が多いようだ。
■レッドブルは開幕戦で実力発揮?
だが、バルセロナで目にしたレッドブルが本当の力を見せていたのかどうか、懐疑的にとらえている者も少なくはない。
その1人であるフェラーリのセバスチャン・ベッテルは、母国ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』に次のように語っている。
「彼ら(レッドブル)はただ2016年のクルマにワイドタイヤをつけていただけじゃないの?」
ベッテルがそう語ったのは、レッドブルでは2017年型車用の空力パーツをまだほとんどテストで見せておらず、メルボルンで行われる開幕戦で初めてそれらを投入する戦略をとったようだとのうわさがささやかれているためだ。
メルセデスAMGを率いるトト・ヴォルフも、「メルボルンで本当のレッドブルを目にすることになるだろうね」と語り、レッドブルがまだ手の内を見せていないのではないかとの疑いを示している。
今季はフェラーリもF1タイトル獲得候補に挙げられるだろうと語ったメルセデスAMGのルイス・ハミルトンも、メルボルンではレッドブルも頭角を現してくるだろうと次のように語っている。
「彼ら(レッドブル)はいつも、最も大きな改良パーツは最初のレースのときに持ち込んでくるからね」
■開幕戦では驚きもあるだろうと意味深なレッドブル
事実、レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、メルボルンではレッドブルがバルセロナテストのときとは見た目が大きく違うクルマを登場させてみんなを驚かせるのではないかと質問されると、謎めいた口調で次のように答えている。
「それは期待していていいよ。みなさんの想像とは違う驚きになるかもしれないけれどね」
だが、バルセロナテストにおいてレッドブルが予想されていたような速さを見せなかったことについて、もうひとつ別の理由も推測されている。
それは、バルセロナではルノーの今季型パワーユニットの信頼性やドライバビリティーの問題に対応せざるを得なくなったことで、本来予定していたプログラムの実施を延期したのではないかというものだ。
■フェラーリ有利を予想するレッドブル首脳
そんな中、レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは、ハミルトン同様に今季のフェラーリは油断のならない存在になるだろうとの考えを示している。
「トップ争いに関しては、フェラーリが非常に手ごわい相手になりそうだ。メルセデスAMGはクルマのフロアにいくつか問題を抱えているように見える。だから、(メルセデスAMGには)これまでのようなアドバンテージはないんじゃないかと思っているよ」
■レッドブル最大の課題はルノーパワーユニット
『Speedweek(スピードウィーク)』にそう語ったマルコは、現在抱えている最大の問題はルノーパワーユニットの信頼性だと次のように付け加えた。
「MGU-K(運動エネルギー回生システム)にいくつか問題を抱えたんだ。2回目のテストまでにはそれを修復できると聞いていたんだが、そうはならなかったよ」
しかし、現時点ではレッドブルのシャシーも完ぺきな状態ではないとマルコは次のように続けた。
「タイヤを適正な温度の範囲にもっていくことができないことがあるんだ。そしてその原因はまだ完全に理解できていない」
■夏までには追いつけるとレッドブル総帥
そして、テスト最終日にバルセロナに姿を見せたレッドブル総帥のディートリッヒ・マテシッツも、シーズン序盤はレッドブルが苦戦することになりそうだと示唆し、次のように語った。
「メルセデスAMGがリードしている。だが、フェラーリと我々も追いついてきているよ」
「我々は、夏までには同じレベルに達すると期待しているよ」