トロロッソのカルロス・サインツが、自身に関するうわさや、来季への展望、そして現在のチームメートであるダニール・クビアトについて語った。
■モンツァで再燃したサインツ移籍のうわさ
トロロッソではすでに2017年もサインツが残留することを発表している。しかし、それでもなお、サインツがほかのチームへ移籍する可能性があるようだとのうわさが根強くささやかれている。
少し前には、サインツを契約下に置くレッドブルが、その契約を解除してルノーにサインツを譲ることで合意したようだとのうわさが流れたこともある。レッドブルはその見返りとして、パワーユニットをもっと好条件で供給することをルノーに求めたというのだ。
そして、こうしたうわさが再びF1イタリアGP(第14戦)が開催された先週末のモンツァでささやかれるようになっていた。デンマークの『BT』紙が、サインツがルノーのモーターホームにいるところを見たと報じたこともそのひとつのきっかけとなっていたようだ。
■来季もトロロッソで走るのは確かだとサインツ
だが、サインツはフランスの『Auto Hebdo(オト・エブド)』に次のように語った。
「レッドブルが僕とトロロッソの契約延長を急いだのは、こういうたぐいのうわさに歯止めをかけるためだったんだと思っている」
「僕が評価されていることはすごくうれしいし、誇りにも思う。トロロッソの歴史においても、これほど早く契約が確定したドライバーはそれほど多くはなかったしね」
だが、このところトロロッソに勢いがなくなっているのも事実だ。コンスタントにポイントを獲得していたサインツも、最近は3レース連続でノーポイントに終わっている。第5戦からレッドブルに昇格した元チームメートのマックス・フェルスタッペンが華々しくメディアをにぎわせている一方で、サインツが自分のキャリアが足踏み状態に陥っていると感じたとしても無理のないことだろう。
だが、サインツは「それがF1なのさ」と語り、次のように続けた。
「僕はまだ22歳だ。バルテリ・ボッタス(ウィリアムズ)あるいはニコ(ヒュルケンベルグ/フォース・インディア)が今のチームから身動きがとれなくなっていると言うことはできるかもしれない。だけど、僕は違うよ」
「トロロッソでもう1年やったからといって僕のキャリアがだめになるわけじゃないよ。反対に、それによって僕の実力を示すことだってできると思っている」
■来季のトロロッソF1カーはレッドブルに近づく
トロロッソの勢いが今季中盤以降に衰えた原因のひとつは、トロロッソが搭載するパワーユニットが2015年仕様であることも否めないだろう。ほかのチームが搭載するパワーユニットがアップグレードされていく中、トロロッソの1年落ちのパワーユニットが改善されることは望みようがない。これはシーズンを戦う上で大きなデメリットだと言わざるを得ない。
だが、2017年シーズンにはトロロッソも再びルノーのパワーユニットを搭載することが決まっている。
「ルノーはグランプリごとにメルセデスとの差を縮めているし、僕たちにはジェームス・キー(テクニカルディレクター)のもとに高い技術をもった設計者たちがいる」
そう語ったサインツは、「全体的に見て、僕たちの新しいマシン(2017年型車)はかなりレッドブル・レーシングのものに近くなるだろうね」と付け加えている。
■クビアトは必ず自信を取り戻すはず
一方、そのサインツの2017年のチームメートが誰になるのかはまだ不透明な状況だ。フェルスタッペンと入れ替わりにトロロッソへ降格されたダニール・クビアトはその後不振に陥っており、F1キャリア継続の危機に陥っていると考えられている。
そんな中、最近ではレッドブルの育成ドライバーであり今年GP2に参戦している20歳のピエール・ガスリーが今シーズン中にもクビアトに代わってトロロッソのシートを得るのではないかとのうわささえささやかれている。
現在のチームメートであるクビアトのことについて質問を受けたサインツは次のように答えた。
「F1という世界がどれほど厳しいところかということを示すようなことが起きたのはこれが初めてじゃないよ」
「ダニールはすごく才能のあるドライバーだよ。だけど僕たちは常に彼には継続的な成長を示す必要があるんだということが分かっていた。そうでなければ最悪の事態を迎えるだろうということがね。僕たちはここ数年の間にしばしば戦ってきたことがある。だから僕は彼の力は分かっているよ」
「トロロッソに戻ってきてからも、モナコやバクーでは彼も速かった。彼は少しばかり自信を失っているのかもしれないけれど、必ずそれを取り戻せるはずさ」