かつてフェラーリやマクラーレンで活躍した元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーが、今日のF1が抱えている大きな課題のひとつが“ルール”だと主張している。
F1通算10勝の記録を持つベルガーだが、母国オーストリアの『Servus TV(セアヴスTV)』に対し、最近ではF1レースのテレビ放送を見ていても複雑なレギュレーションのせいでレース展開を理解するのが難しくなっていると語った。
「我々は誰もが勝利に向けた全面的な戦いが繰り広げられるのを見たいと思っている。ばかげたタイヤの問題に関して延々と議論をすることではなくてね」
ベルガーが、先週末にモンツァで行われたF1イタリアGP決勝後に問題とされ、審議対象となったルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)のタイヤ空気圧問題に言及していることは明らかだ。
だが、ベルガーが非難しているのは今回の問題を起こしたメルセデスAMGではなく、ルールのほうだ。
「間違いはレギュレーションの正確な定義と正確な実践によるものだった」
最近まで統括団体であるFIA(国際自動車連盟)のシングルシーター委員長を務めていたベルガーは、そう語ると次のように続けた。
「だが、タイヤをチェックするのはいいとして、どんな状況のもとにそれが行われたかなんてことがレース週末の主たるテーマとなるべきではないよ」
「ルールがすごく複雑すぎるし、チームはその抜け道を探る専門家さえやとっているんだ」
「僕はメルセデスAMGを批判しているわけじゃないよ。そうではなくてFIAの、このルールを作成した者が、できる限り明確なルールにしておくべきだったと言っているんだ。そうであれば、チームはこういう差など思いつかないわけだからね」
「私は、こうしたルールを制定した人たちのことも個人的に知っているし、みんないい人たちばかりだよ。だけど、ときどき、彼らは木を見て森を見ずって感じになっているように思える」
「彼らは常にレースを面白くしようと努めている。例えば、可変リアウイングの導入などのようにね。だが、彼らはハイブリッドシステムを含むこうした現代的なレギュレーションの導入を進めつつ、一方では(チームに対して)それらを開発することはできないと言うんだ」
そう語ったベルガーは、次のように付け加えた。
「私に言わせれば、すべての整合性がうまくとれていないような気がするよ」