2010年からF1参戦を開始していたケータハムとマルシャの2チームが破産状態に追い込まれたことはすでに報じられている通りだが、それにもかかわらず、2016年から新たにF1参戦を目指しているアメリカのジーン・ハースは、その計画を見直すつもりはないと主張している。
2010年にF1参戦を開始したチームは全部で3チームあったが、すでにHRTは2012年シーズン限りで撤退しており、3チームすべてが5年のうちに姿を消すことになった。
しかし、ハースは、アメリカのノースカロライナに本拠を構えるハースF1チームでは同じような失敗は犯さないと『CNN』に次のように語った。
■デビュー前にフェラーリとの強固な関係を築いたハース
「彼ら(2010年に新規参戦したチーム)は多くの間違いを犯して失敗してしまったんだ」
「必然的に、彼らには人材もいなかったし、クルマだってうまく作り上げることができなかった。それは彼らがあまりにも事を急ぎ過ぎたためだ」
そういう意味では、ハースは事をせいてはいないように見える。本来、2015年から参戦できるチャンスを与えられていたハースだが、それを1年遅らせて十分な準備を行うことを選択。そして、新チームは2016年からフェラーリからエンジンやその他の支援を受けながらF1デビューを果たすところまでこぎつけている。
「我々はフェラーリの“Bチーム”になることを非常に誇りに思っているよ。それによって我々がF1でどう戦えばいいかということを学ぶことができるからね」
そう語った61歳のハースが世界的企業に育て上げた産業機械メーカーは、すでに今季からフェラーリのスポンサーともなっている。
■F1参戦の注目度は高い
さらに、ハースは、NASCARとバドワイザーのスポンサーシップを取りまとめた実績を持つアダム・ジェイコブスをマーケティング担当重役としてチームに迎えることを明らかにしている。
そのジェイコブスは次のように語った。
「これは素晴らしいチャンスだ。ジーン・ハースのような実行力と成功実績を持つ人物によって率いられる組織で世界的なブランドを育てて世に送り出すことができるんだからね」
ハースはさらに、F1が財政的な危機にひんしていると指摘するメディアもあるような状況のもとで新たにチーム運営を開始しようとしていることに後悔はしていないと主張している。
ハースは、最近開催されたシカゴでの展示会を訪れたときのことを思い起こしながら、『USA Today(USAトゥデイ)』に対して次のように語った。
「ものすごかったよ。大勢の人たちが“あなたと知り合えてうれしい、あなたがF1に参戦することがうれしい”と言いながら近づいてきたんだ」
「誰もが、我々が世界最高峰のモータースポーツプロジェクトにかかわろうとしていることを理解しているんだ」
■参戦に向け、自信を見せるハース
ハースはさらに、2016年にデビューを飾るF1チームについて、その理想的なドライバーラインアップは経験のあるF1ドライバーとアメリカ人ドライバーの組み合わせだろうと語り、次のように続けた。
「NASCARのガレージでさえ、ほとんどのドライバーが私に握手を求めてくるんだ」
現在スチュワート・ハース・レーシングの共同オーナーとしてNASCARにも参戦しているハースはそう語ると、ほほ笑みながら次のように付け加えた。
「彼らも興味を持っていると思うよ」
もちろん、ハースは今後に向けて懐疑的な意見があることも理解している。だが、すでに2010年から参戦した3チームがすべて失敗に終わったことや、かつて同時期にF1参戦を目指していたアメリカのUSF1はデビューすることもできずに挫折していたことを考えればそれも当然のことだとハースは続けた。
「懐疑的になるのも無理はないだろう。とにかく大仕事だからね」
「これまでにも大勢が失敗している。だからそうした懐疑的な見方があるのも当然のことだ」
そう語ったハースは、次のように締めくくっている。
「見るまでは信じられないというのが人間の持つ特性なんだよ」