マクラーレンのレーシングディレクターであるエリック・ブーリエが、今シーズン終了後すぐにホンダエンジンのテストを行うかもしれないと示唆した。
今年2月にロータスからマクラーレンへ移籍したばかりのブーリエにとって、目下の最大の目標はメルセデス製エンジンを搭載した今季型車MP4-29を勝てるクルマにすることだ。
今季のマクラーレンは、開幕戦のF1オーストラリアGPでこそ、ルーキーのケビン・マグヌッセンが2位、ジェンソン・バトンが3位と好調な滑り出しを見せたものの、その後はスランプ状態に陥っている。直近の3レースではチームとして1ポイントも獲得できずに終わるなど、現時点ではチーム別ランキングで6番手に沈んでしまっている。
だが、今季マクラーレンの最高責任者に返り咲いたマクラーレン・グループの総帥であるロン・デニスは、ホンダと手を組む来年まで優勝することをあきらめるつもりはないようだ。デニスはチームに対し、すぐに優勝することを求めている。
「なぜ彼(デニス)がそう言っているのかは分かっているよ」
そう語ったバトンは次のように続けた。
「もし来年速くありたいと思うなら、今年からもっと速くしておかなくてはならないんだ」
「僕たちは頑張り続けなくてはならないし、あきらめはしないよ。多分、メルセデスAMGから300ポイント離されるまではね」、とバトンはほほ笑んだ。
ロンドンの『Times(タイムズ)』紙は、マクラーレンがこれまでの伝統を打ち破って「再スタート」を切るために、デニスはチーム運営に関してブーリエに「白紙委任」を与えた状態だと指摘している。
そんな中、来季から搭載するホンダエンジンに大きな期待が寄せているマクラーレンでは、予想よりもかなりはやくホンダとの活動をスタートさせることになるかもしれないとの情報が出てきた。
ブーリエが、今シーズンの最終戦アブダビGP(11月23日決勝)のあとに行われる公式テストにおいて、ホンダの新しいV6ターボエンジンでの初走行を行う可能性があることを示唆したのだ。
ブーリエは、次のように語った。
「我々はアブダビまでは現在のメルセデスエンジンを使うことになっており、ほかのエンジンで走らせるようなことはない。だが、多分そのあとで(ホンダエンジンを)試すことになるだろうという考えは持っている」
マクラーレンでは昨年まで長期にわたってタイトルスポンサーを務めていたボーダフォンとの関係が解消され、今季はここまでタイトルスポンサーなしで戦いを続けている。そうした状況もあり、先ほどのデニスの思惑は別として、マクラーレンでは早々と今季のF1カーの開発に見切りをつけ、来季に照準を合わせた戦略に移行するのではないかという見方もある。
だが、ブーリエはそれを否定し、次のように続けた。
「我々にとって今年はまだ終わったわけではない」
「我々はウォーキング(ファクトリー)において全力で頑張っている。それに、タイトルスポンサーがどうなろうと、すでに我々の予算は確保されているよ」
そう語ったブーリエは、次のように締めくくっている。
「もちろん、来年の新しいパワーユニットについては別のプログラムになる。だが、それが現在の我々の仕事に影響を及ぼすことなど何もないよ」