世界的エナジー飲料メーカーであるレッドブル社の総帥、ディートリッヒ・マテシッツが再び、新たな時代を迎えたと言われる今季のF1に対して批判を行った。
オーストリア出身の大富豪であり、F1チームのレッドブルとトロロッソのオーナーでもあるマテシッツは、昨年から大幅にレギュレーションが変更された今季のF1についてはすでに厳しい批判を行っていた。
マテシッツは今回さらに、『Salzburger Nachrichten(ザルツブルガー・ナッハリヒテン)』紙に対して次のように語った。
「やれ制限だの、ルールだの、ペナルティーだのって、規則が多すぎるんだよ」
「かつてのF1は、誰が速く走って勝つのかということがすべてだった。私は単に、不満を感じているファンに対して同情的だというようなレベルで言っているわけではないよ」
来週70歳の誕生日を迎えるマテシッツは、さらに次のように付け加えた。
「今では、ドライバーはもはや限界まで攻めることはできないんだからね」
だが、珍しく先週末開催されたF1スペインGP(第5戦)のパドックに姿を見せていたマテシッツは、ルールを変更するよう働きかけたりはしないと語り、「そんなことをしてもムダだからね」と付け加えた。
そのバルセロナにはF1統括団体であるFIA(国際自動車連盟)の会長であるジャン・トッドの姿も見受けられていた。
マテシッツはさらに、レッドブルがオーナーとしてさらに影響力を及ぼすことができるようにするため、F1の株式を買収にかかるのではないかとのうわさを否定し、『Speedweek(スピードウィーク)』に次のように語った。
「いや、(F1は)我々の専門分野ではないと思っている」
一方、マテシッツは、スペインGPの決勝で見事なレースを展開した4年連続F1チャンピオンのセバスチャン・ベッテル(レッドブル)を称賛した。そのベッテルについては、最高のクルマを手にしているときだけ素晴らしい力を発揮するに過ぎないという評価を与えている者も少なくない。
「彼(ベッテル)はF1チャンピオンらしいレースをしたよ。だが、私に言わせれば、それは驚くようなことではない」
マテシッツは『Sport Bild(シュポルト・ビルト)』にそう語ると、次のように付け加えた。
「彼のドライビング能力は決して落ちてなどいない。彼はただ運に見放されていただけなんだ。ベッテルを危機に陥れようとする者たちの言うことなど信じてはならないよ」