4年連続のF1チャンピオンチームであるレッドブルにとって、先週末のF1スペインGPはかなり忙しいものだったようだ。
ある時点では、明らかに可変ウイングだと思われるビデオ映像がインターネットに掲載され、物議をかもすこととなった。
レッドブルのエンジニアリング責任者であるポール・モナハンは、そうした古いトリックを用いてなどはいないと否定し、次のように説明した。
「故意に不良な状態を作り出そうというような意図はなかった。それに、あのようなたわみから空力的な利益などまったく得られない」
さらに、今季ここまでチームメートのダニエル・リカルドに対して明らかに苦戦を強いられていた4年連続チャンピオンのセバスチャン・ベッテルだが、新しいシャシーに交換して臨んだスペインGPでは初日のフリー走行1回目開始早々にクルマに電気系トラブルが発生。複雑な配線にダメージを負ってしまい、その修復のためにベッテルはフリー走行2回目の走行を見合わせるしかなかった。
そして、翌日の予選では順調にQ3まで進んだものの、やはりセッション開始と同時に今度はギアボックスにトラブル発生。タイムなしの10番手で予選を終えていたベッテルだったが、ギアボックスの交換を強いられたことにより、5グリッド降格ペナルティーを受けることとなり、決勝では15番手という下位からのスタートとなっていた。
ベッテル本人もショックだっただろうし、エンジニアやメカニックたちもクルマの修理に大忙しだったはずだ。
ところが、度重なる信頼性の問題を抱えながらも、ベッテルは決勝で11台を追い抜く快走を見せ、4位でフィニッシュしてみせた。ベッテルはレース後、バルセロナ-カタルーニャ・サーキットを走りながらファステストラップまで刻むことまでできて最後は「楽しかった」と語っている。
「またクルマを掌中におさめられたという感じがしているよ」、とベッテルは付け加えた。